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(21.4.26) 日本の金融危機の現状

Images7  日本の金融機関の決算3月が多いので、現状では見込みの段階ではあるが、それでも明らかな特徴が出ている。

 基本的に赤字なのはアメリカの金融機関と同じだが、赤字の内容が日本型とアメリカ型に分かれている。
明確にアメリカ型なのは野村HD農林中金で、一方日本型三菱UFJFG三井住友FGであり、ちょうど中間に位置するのがみずほFGという具合だ。

 アメリカ型の特色は市場部門のウェイトが高く、そのため証券化商品を多く保有したためにその評価損が大きく、経営をひどく圧迫してしまった金融機関である。

 一方日本型市場部門のウェイトが小さく、いわゆるサブプライムローンの残高は少ないが、株式の持合で多くの株式残高があったために、この株価暴落で減損処理に追い込まれ、また融資の不良資産が増大した金融機関である。
サブプライム関連の損失が少ないだけ、経営は相対的に安定しており、三菱UFJFG三井住友FGがこれに当たる。

 みずほFG
は自ら投資銀行になろうとして、ロンドンに子会社を設立したが完全に戦略が裏目に出てしまい、メガバンク3行の中で、最も収益を圧迫してしまった。中間型といえる。

 それは3月期決算の内容を比較してみれば一目瞭然で、野村HD▲7094億円農林中金(▲6100億円)、三菱UFJHG▲2600億円)、三井住友FG(▲3900億円)、みずほFG(▲5800億円)と言った具合になっている。

 もっともどの金融機関も資本増強を図らなければBIS規制に抵触しそうになって、懸命な自己資本の増強に走り出した。

 特に野村HD農林中金は資本の増強をはからないと、経営そのものが成り立たないところまで追い込まれ、野村HD約1兆3000億円(野村HDは投資銀行として資本増強を図ったが、結果的には減損処理等に使用することになった農林中金は1兆9000億円の資本増強を図った。
他に三菱UFJFG1兆円これはモルガンスタンレーへの出資90億ドルの資金調達のため)、三井住友FG 8000億、みずほFG 3000億と言った具合である。

 農林中金は自ら証券化商品を組成することは無いが、世界最大規模の機関投資家として、いわゆるサブプライム関連商品を多く保有していたため、減損処理や引当金の積み増しに追い込まれたのである。

 一方野村HDは自ら組成した証券化商品の評価損や、購入した証券化商品の価格暴落により、市場部門だけで▲5746億円前年▲2261億円)の損失を出してしまった。
またリーマンの買収費用も経営に重たくのしかかっている。
市場部門の損失は野村の損失の約8割にあたり、これはアメリカのシティグループバンカメとまったく同じ構図と言える。

 以上の結果から日本の金融機関の将来がある程度推定できる。
日本経済が回復基調に乗れば、最も早く苦境から立ち直りそうなのは、日本型の三菱UFJFG三井住友FGで、一方アメリカ型の野村HD農林中金は証券化商品のウェイトが高いため、アメリカの金融機関と同様に長い間苦しむか、場合によったら公的資金の導入が必要になるかも知れない。

 みずほFGは両者の中間だから、日本経済がすばやく立ち直れば経営は回復するが、そうでない場合はかなり苦しい経営を強いられそうだ。

 リーマン・ブラザーズが倒産したときに、与謝野大臣は「蜂に刺されたようなものだ」との認識だったが、それは日本型の金融機関の場合で(ただしスズメバチだったが)、アメリカ型の金融機関は経営の根幹を揺るがすような影響があったことが分かる。

 

 

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評論 日本の政治・経済 日本の金融危機」カテゴリの記事

コメント

また、興味ある記事なのでコメントさせて下さい。よく整理されていて、大手金融の損失額が俯瞰できます。グローバル金融危機の影響を最も受けるティピカルなケースとして、農林中央金庫に注目するべきだと判りました。なぜなら農中(農水省所管)は、約60兆円もの投資運用をする国内最大の機関投資家であり、投資銀行の役割を担っているからです。
9年3月期のディスクロージャーはまだのようですが、6200億の経常損失になりそうです。農中が経常赤字となるのは13年ぶりだそうですね?。理事長は責任を取って、6月を待たずに退任。特別顧問も蹴って嘱託に甘んじています。関心があるのは、債務担保証券などの証券化商品約6兆円のうちいくら減損処理したかです。銘柄は、フレディマック、ファニーメイ、シティがほとんどですから時価評価はかなり低下しているはずです。これに対処して、1.9兆円の資本を調達したのかも?。しかし、なおも下落したり破綻したりすれば、もう公的資金の注入は免れませんよ!。かって住専問題で破綻寸前にまでいったように前車の轍を踏む事態が懸念されます。もちろん日本経済は震撼、アメリカ金融危機の道連れとなってしまいます。理事長は逃げおおせましたね!。

投稿: G爺 | 2009年4月26日 (日) 17時10分

次郎さん今日は、毎回楽しく読ませて戴いて居ります。 さすがに元専門だけあって裏側まで良く推察して居られます。私も僅かな資産を投資に回している為、経済の動きは毎日の関心事であります。 次郎さんが若かりし頃に協力隊(JICA)に応募され、断念された国際ボランテアに現在シニアとして参加しています。しかしながら、毎日の日記を読ませて貰いながら、次郎さんのような真のボランテア精神は自分には多分に欠けてる事に気付かされます。
応援しています。

(山崎) JICAに参加されているとは、素敵な人生ですね。そうした生き方をしたいと思っていた時期を思い出しました。

投稿: 安本栄二 | 2009年4月26日 (日) 08時24分

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