(21.4.2) 自動車を捨てて
我が家に有った自動車を処分してから早半年が経つ。自動車を処分したのは私が自動車に乗るのが年に2回程度なのに、税金や保険や車検でやたらと費用がかかり、一方年金生活で生活が厳しくなったからである。
「あまりにバカバカしいので自動車なんか要らない」決心した。
もっともなぜ自動車を買ったかと言うと、眺めていて嬉しかったのと、車庫を作ったのに自動車がなくては格好がつかないと思ったからだ。
しかし私の生活は昔も今もまったく自動車とは縁がない。移動はもっぱら歩くか走るか自転車で、1日あたりの最大走行距離は歩きは40km、走りは100km、自転車は200kmでこれだけあればほとんどどこの場所にもいける。
もちろん時間はかかるのだが、なにしろ定年退職者で一日中暇なのだから時間については制約条件になることが少ない。
体力も腰をいためているものの我慢すると痛みはなくなるので、歩いたり走ったりすることには支障はない。
自転車はまったく腰が痛まないので、昨今の最適な移動手段になっている。
自動車がないと困るのは大きな荷物を運ぶ時で、昔庭に花壇を作るためにレンガをD2から購入して運んだ時は往生した(このときはまだ自動車を購入していなかった)。
我が家からD2までは1km以上あったのだが、その間を農作業でよく使う一輪車でレンガを運んだ。
1回で終わらず数回に及んだので最後は目一杯レンガを積んで押していたら、下りの坂道でコントロールが効かなくなり、車道を右へ左に蛇行し始めた。さらに急速にスピードがあがり、どこに行くのか分からなくなってしまった。
このときは本当にレンガに頭をぶつけて死ぬのではないかと観念したものだ。
最近の事例で困ったのは、かみさんが足の骨を折ってしまい病院通いをしなくてはならなくなったときで、タクシーで通うことにしていたら娘の嫁ぎ先のお父さんが自動車をだしてくれてかみさんを運んでくれた。
最近はありがたいことにかみさんも私も知り合いが多くいて、本当に困った時は助けてくれるので自動車がなくても済んでいる。
私の場合はさして自動車は必要ないという事例なのだが、昨今の世界的な自動車産業の不振を見て、「もしかしたら自動車の世紀は終わりに近づいたのではなかろうか」という感を強くしている。
「自動車の時代」はアメリカのライフスタイルを世界の人が真似た結果であり、アメリカ人の生活様式こそ世界のグローバルスタンダードだと世界中が思っていたからに他ならない。
しかしよく考えてみたら、この狭い国土を自動車道路ばかり作って移動するよりも公共交通機関の電車や地下鉄を使用して移動する方がはるかに便利だ。また近在であれば自転車の移動だって問題ない。
鉄道輸送はイギリスで始まったライフスタイルで、明治政府がイギリスをまねて日本中に鉄道網を敷設したものだ。
戦前を扱った映画を見ると、長距離の移動はもっぱら鉄道で有ったことが分かる。
たまたま日本はイギリスと同じ人口稠密で国土が狭かったので現在でも世界に稀に見るほど公共機関が発達し、都市近辺では自由な移動が可能になっている(北海道のような人口希薄な場所ではアメリカ的なライフスタイルになる)。
まだ一般化しているとはいえないが遊歩道や自転車道が整備されると、自転車の移動がもっとも便利になる。これは主として北欧のライフスタイルで、ここおゆみ野は特に遊歩道が発達しているので自転車の移動がことのほか便利だ。
だから自動車文明と言いうのは、日本がアメリカに負けてその生活スタイルまで完全に真似たからで、必ずしも世界的なスタンダードとはいいがたい。
人口稠密な大都市周辺は鉄道を中心とするイギリス型公共交通が、そして郊外の整備された住宅地では北欧型自転車が主流になってもまったくおかしくない。
アメリカ発の金融恐慌で世界は大騒ぎになっており、特に自動車産業の凋落ははなはだしいが、もともと自動車はそんなに必要なかったのだと考えると合点がいく。
「アメリカの金融資本の瓦解と、アメリカのライフスタイルの瓦解が同時に起こっているのか」そう思う。
21世紀は自分が住んでいる場所や年齢、好み等にあわせて、最適なライフスタイルを求めればよい時代だと思えば、こんなに素晴らしい時代はないのではなかろうか。
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