(21.4.12) 漫画について 大人のコミックは輸出産業
私はこの年になっても無類の漫画好きである。毎月2回小学館が発行しているビッグコミックとオリジナルは欠かさず購入して読んでいる。
会社員であった頃も発売日が待ち遠しくて、出るとすぐ駅の売店で購入しては電車の中で読んでいたものだ。
特にビッグコミックの「C級さらりーまん講座」や「赤兵衛」は笑わしてくれる。電車の中で思わず爆笑しそうになっては懸命にこらえて顔が真っ赤になったことがよくあった。
もっとも私のような大の大人(それも老人に近い)が好んでコミックを、しかも公衆の面前で読んでいるのは日本だけらしく、日本の識者からよく苦言を呈せられたものだ。
「わが国では電車のなかで大人が平気で漫画を読んでいるが、これでは外国人から見ると子ども並の知性しか日本人が持っていないと思われるので、国辱ものだ」
国辱とまで言われると私もいささか躊躇し「家でこっそり読もう」と決心するのだが、やはり漫画の魅力には抗しきれず、いつの間にかまた電車でおおっぴらに読んでいた。
漫画を好んで読む有名人に麻生首相がいる。麻生首相は無類の漫画好きで、しかもビックコミックが何十年に渡って掲載している「ゴルゴ13」シリーズを全巻保有していると聞いた。
麻生首相が「ゴルゴ13」を読む目的は「日本の世界戦略のため」なのだそうだから、「ゴルゴ13」はハンチントンの「文明の衝突」並みの扱いを受けていることになる。
最も麻生首相は施政方針演説等でしばしば漢字の読み間違いをしており、インテリ層からは「漫画しか見ないからだ」と揶揄されている。
この点は私も同様で、しばしば漢字の使用の仕方を誤っているらしく、その種の知識が豊富な人からコメントをいただいている。
一方漫画についてその価値を積極的に評価している識者に、日下公人(くさかきみんど)氏がいる。
氏によると「日本の漫画の水準は世界最高で、世界中の子ども達が日本の漫画に魅了され、特にピカチュウやドラえもんは世界のアイドルになっている。漫画こそが日本文化の伝道者」なのだそうだ。
私の経験でもタイのバンコックの屋台で日本漫画を売っていたのを見たが、言葉だけタイ語にしたドラえもんを見て驚いたものだ。
現在、日本の漫画が世界の子ども達を魅了しているのは分かったが、さすがに世界の大人までは魅了できてはいない。
先日も中国の温家宝首相が「自分の孫が見る漫画は日本のウルトラマンばかりだ」と苦言を呈していた。
大人は日本の漫画が嫌いらしい。
しかし、これはまったくの認識不足で、なにしろ私のような老人でさえ夢中になるくらいなのだから、日本の漫画の水準は群を抜いている。
たとえば私が大好きなさいとう・たかお氏の「ゴルゴ13」、手塚治虫氏の「火の鳥」、弘兼憲史氏の「人間交差点」、白戸三平氏の「ワタリ」といった大人向け(もちろん子どもも読んでいる)のコミックを世界中の大人が読みはじめたら「かっぱ海老せん」になることは請け合いだ。
現状はヨーロッパやアメリカや中国のインテリ層は漫画と言えばうウォルトディズニーと思っているので、この日本独自の大人のコミックと言うジャンルの魅力を知らないのだろう。
この大人のコミックこそは、「すし」と同様日本の誇る輸出産業のコアになれるコンテンツだと私は思っている。だから自動車や鉄鋼ばかり熱心にならずに、この大人のコミックの売込みをする方が日本の産業の建て直しに資するはずだ。
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