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(21.4.9) 日本経済回復のシナリオ  輸出バブルは終わったか?

Images2  リーマン・ブラザーズが倒産した08年9月与謝野大臣は「蜂に指されたようなもの」との楽観的見通しを述べ、その後も「日本は住宅・金融のバブルはなく、今回の経済危機の影響は軽微」との認識だったが、08年10~12月四半期GDP速報が出された09年2月頃から、様相が一変してしまった。

 その時世界中が驚いたのだが、日本のGDPは年率で▲12.7%も縮小をしており、これより悪い主要国は韓国の▲20.8%だけになっていた(ドイツ▲8.2%、アメリカ▲6.2%、イギリス▲6.0%)。
そうか、日本は輸出バブルだったのか」世界中が大騒ぎになった。

 それまで日本の高付加価値製品レクサスのような高級自動車や薄型液晶テレビ等)が飛ぶように売れ、02年2月~07年10月までは年率ほぼ2%の戦後最長の好景気にわいていた。 しかしそれはアメリカやヨーロッパが住宅・金融バブルで消費が加熱していたためだと言うことに世界が気がついた。

 輸出バブルの間、日本は毎月1兆円~3兆円規模で貿易収支の黒字を稼いできたが、リーマン・ブラザーズの倒産以降この構図が逆転して、08年10月以降4ヶ月に渡って貿易収支が赤字になってしまった(貿易統計ベース)。

 その間の輸出の落ち込み速度はほとんどジェットコースター並で、対前年同月比で11月▲27%、12月▲35%、1月▲46%、2月▲49%と、2月にはとうとう半減した。
日本は戦後最悪の不況に突入した」と与謝野大臣の認識が180度ひっくり返ったのも無理ない。

 それまで日本の経済状況は相対的にまともなので、円は「買い」だと思われていたがまたたくまに「売り」に転じてしまい、90円前後だった円は今は100円前後円安局面になっている。
日本の経済状況は世界最悪だ」これほど認識が逆転した国は珍しい。

 実際、各機関による09年度GDPの予測は主要先進国のなかで日本が最悪の落ち込みをすると予測しており、たとえばOECD日本▲6.6%、 ドイツ▲5.3%、 アメリカ▲4.0%、 イギリス▲3.7%という具合である。

 金融バブルの本家であるアメリカやイギリスよりも、日本やドイツの落ち込みが激しいのは意外だが、これはある意味で輸出立国の宿命とも言える。

 GDPの内訳は ① 個人消費 ② 投資(設備投資、住宅投資、公共投資) ③ 純輸出(輸出-輸入)からなり、このなかで個人消費は比較的安定しており、投資項目と純輸出が景気動向によって大きく動くとされている。

 輸出立国の場合はこの純輸出が常に黒字で、GDPを大きく押し上げてきたが、反対に輸出に急ブレーキがかかるとまたたくまに純輸出がマイナスになってしまう。

 輸入は食糧や原材料が主なのだが、食糧は輸出と関係なく輸入を続けなければならないし、原材料(鉄鉱石、石炭、石油、天然ガス等)については長期契約を結んでいることが多く、すぐには圧縮できない。

 この結果輸出の減少速度に比較して輸入の減少速度が遅れてしまい、いままで1兆円~3兆円もあった貿易収支の黒字が急速に赤字になる。これが昨年の08年10月~09年1月までの状況だった。
GDPの構成要素の純輸出が赤字になれば、確かにGDPは劇的に悪化するだろう。

 しかし09年2月に、ようやく純輸出が僅かながら黒字(824億 貿易統計ベース)に転じてきた。輸入の減少幅(▲45%)が輸出の減少幅(▲49%)に追いついてきたからである。
縮小均衡なのだから、もろ手を挙げて喜ぶわけには行かないが、このあたりで輸出立国日本の大出血は止まり、底が見えたという状況だ。


 これからの日本の経済動向はどうなるのであろうか

① 再び輸出が増加をしはじめ、今までのような輸出大国になる。
 × (これは先進諸国の経済状況から見てありえ

② 輸出・輸入は現状程度で推移するが、個人消費が伸びて内需拡大型の景気回復になる。
 × (定額給付金が唯一のプラス要因だが、失業率の増大等で国内消費は上向かない

③ 政府の公共投資や住宅減税で景気が回復する。
  (15兆円規模の追加投資や住宅減税は一定の効果があるが、一方設備投資が低迷するので、効果はイーブン

 私の09年度の日本経済の予想は「純輸出はほとんどゼロベースだが、政府の景気対策で景気悪化はこれ以上深刻になることにはない。

 第2四半期からは回復軌道に乗りそうで、OECDの予想▲6.6%よりはかなり良く、アメリカ(▲4.0%)やイギリス(▲3.7%)よりはよいパフォーマンスを示す」と言うものだ。

 輸出立国のGDPは悪化するときは急激に悪化するので耳目を驚かすが、回復も急回復するのと、輸出バブルだけが日本の悪材料なのだから、底が見えればそれ以上の悪化はないというのが私の判断だ。

 

  

 

 

 

 

 

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