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(21.3.4)金融恐慌の第2段階 AIG炎上

Images1  ついに金融恐慌の第2段階が始まった。AIGが炎上し始めたからだ。
AIGアメリカン・インターナショナル・グループ)については、一般の人にはなぜこの会社が問題なのか分からない。

 そもそもAIG生命保険事業損害保険事業のような硬い商売をしており、日本人にとって生命保険会社アリコはがん保険などでとてもなじみのある会社だ。

 しかし、このAIGに対しアメリカ政府はすでに3回に渡って約1500億ドル(約15兆円)の資金援助をしてきており、さらに今回300億ドル追加資本の投入をするという。
合計で1800億ドル相当だが、これはシティグループ450億ドルバンカメ450億ドルGM134億ドルを足したものより大きい。

 AIG08年10月~12月期の決算で617億ドル(6兆円)の赤字を計上し、08年全体では993億ドル約10兆円)の史上最大の赤字になったからであるが、赤字幅は期を追うごとに拡大してきており、一体どこまで拡大するかわからない状況になっている。

 あわててアメリカ政府はAIGに対し300億ドルの資本注入をしたのだが市場はまったく評価せず、株価は世界各地でバブル崩壊後最安値の2番底をつけ始めた。
今日(3日)の東京市場ではトピックス25年ぶりの安値だと伝えている。
株価は底が抜けてこれからどこまで低下するかわからない
 
 市場が評価しなのは深い理由がある。
公的資金投入の理由をアメリカ政府の公式声明では「多くの個人の保険契約者に被害が及ぶのを防ぐためだ」と言っているが、これは嘘である。

 AIGの各部門のなかで、生命保険事業損害保険事業はいわば健全な収益の稼ぎ頭であり、まったく問題がない。
2007年のフォーブスの世界優良企業2000社の中で、世界第6位保険セクターで第1位だったのは紛れもない事実だ。

 そのAIGが急激に業績を悪化させた原因は、金融事業の失敗による。AIGも当初は通常の金融事業の範疇だったが、金融バブルの時期に信じられないような保証業務を引き受けるようになった。

 名前をCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といい、投資家等が証券化商品を購入する時に、その上前をはねる事業である。
たとえばA金融機関が8%の証券化商品を販売しようとした時に、投資家がA金融機関の将来性に対し疑念を持ったとする。
そこで投資家はAIG4%CDS契約を結ぶ(投資家の取り分は4%になる)。

 この契約があればたとえA金融機関が倒産しても投資家はAIGが保証してくれているので、安心してこの証券化商品を購入できる。
AIGの保証があるのだから絶対安全確実だ
実際はA金融機関が証券化商品を販売する時に、CDS契約を込みで販売することが多い。『利回りは4%ですが、AIGの保証付です』)。

 確かに、全てが好調のときはAIGは濡れ手に粟(AIGは保証しているだけで儲かる)でがっぽり保証料で上前をはねることができたが、サブプライムローン問題が発生してから歯車が逆転し始めた。
金融機関や投資銀行やヘッジフファンド等が倒産するたびに、AIGは保証実行をしなければならなくなったからだ。

 特にリーマン・ブラザーズの倒産以降は最悪で、AIGが引き受けた総額40兆円CDSの一体どこまで保証義務が発生するのかわからなくなってきた。
それ以外にも自らが組成した証券化商品の焦げ付きも著しい。

 当初アメリカ政府はリーマン・ブラザーズと同様にAIGを倒産させるつもりだったが、約40兆円のCDSの存在を知って愕然としたという。
AIGが実質的に最後のアンカーになっており、もしAIGを倒産させれば40兆円の面倒は、必然的にアメリカ政府が見なければならなくなる。
まずい、AIGを潰すと金融パニックになる

 現在、アメリカ政府はCDS問題が表面化しないように懸命にAIGを支えているが、CDSは世界で6000兆円規模であると言う。これは世界の1年分のGDPに匹敵し、もし本当にパニックになれば世界の1年間の働きが無一文になるに等しい(CDSをどの金融機関がどの程度持っているか正確にはわからない。保証業務は簿外だからだ)。

 CDSはまさに経済における核弾頭のようなもので、これが破裂したら世界経済は火の海だ。だからアメリカ政府はなんとしてもAIGを支え続けなければならない。

 しかしAIGの救済劇を見ていると底なしの救済劇で、不動産価格が底を打ち、実態経済がたち直らない限りCDS核弾頭は必ず炸裂すると予測した方がよい。

 

 

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コメント

はじめまして。経済初心者です。

核弾頭が爆発したら世界はどうなりますか?

(山崎) とても回答するのが難しく正確な予測は不可能です。
すぐに発生することだけで言うと、世界の金融システムが停止して、金の動きが止まります。金融機関は金を貸さず、企業は信用決済ができなくなり、すべては現金決済になるはずです。
倒産した後の企業イメージが一番近い状態です。

その後の経緯としてはいくつかのパターンがあり、① 歴史的なイメージとしては大恐慌後の戦争によるシステムの再構築、② 市場資本主義が崩壊して管理された資本主義による再構築、③ 江戸幕府が行なった鎖国政策(鎖国とは当時の世界標準を目指したキリスト教世界に対する日本の回答と言う意味で)に近い一国主義等の動きが考えられますが、まだどのような世界が現れるかは今現在では分かりません。

投稿: 美の坪 | 2009年3月 4日 (水) 10時11分

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