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(21.2.25) 年金試算は正しいか (いかさまの構図)

Image0  私のような年金生活者にとっては、将来の年金がどうなるかについては余り興味がない。それよりも年金額がすでに確定している以上、あとはインフレデフレかだけがもっとも大事な判断材料で、インフレならば困窮化が進み、デフレならば生活が向上するだけである。

 しかし現役のサラリーマンのように将来年金を受給する人たちにとって、いくら年金がもらえるかは最重要課題の一つだろう。

 今回厚生労働省の年金部会が実施した年金試算では、04年度に行なった年金改正措置が、当時政府が約束した「100年先まで現役労働者の平均手取りの50%を確保」できるか否かの試算を実施して「将来にわたり50%の確保は可能」との結論を出した。

 これは5年ごとに財政状況を検証する「財政検証」として実施したものである。

 最近は一寸先が闇の時代なのだが100年先まで見通して、しかも「50%可能」との結論を出しているのには、心底驚いてしまった。
どうやって100年先まで読めるのだろうか」興味津々で「財政検証」の詳細を見てみた。

 すると再びビックリしてしまった。信じられないような数字が並んでいたからだ。

① 合計特殊出生率 1.26
② 実質経済成長率  0.8%
③ 名目運用利回り  4.1%(10年代半ばまでは1%台だが20年以降は4.1%が可能)
④ 名目賃金伸び率  2.5%

 この中には同意できる数字とまったく同意できない数字が並んでいる。

 合計特殊出生率1.2605年の実績数字で大体妥当な数字である(2.08が人口を維持する数字だが、1.26は将来的に人口が減ることを意味している)。

② 実質経済成長率0.8%はここ20年近くの日本の実績数字にほぼ近い。日本の成長率はこの程度だろう。

 問題は名目運用利回りで、2010年代半ばまでは1%台はともかく、2020年以降4.1%と言うのはありえない
最近の運用利回りの推移を見ると、04年 2.73%、05年 6.83%、06年 3.10%、07年 ▲3.53%で、過去7年間の平均利回りは2.26%だった。08年はさらに利回りが激減しているはずだ。

 しかも今回の試算では運用利回りを、04年度の試算3.2%から4.1%にあげている。金融バブルの時期でさえ3.2%だったのに、そのバブルがはじけたら運用利回りが4.1%にUPすると言うのだ。

 バブル期でさえ、4.1%以上の利回りは05年の6.8%だけで、あとはいづれもそれより低い。今後は金融バブルがないと仮定すると、せいぜい国債の運用利回り上回る2%程度が妥当な数字ではなかろうか。

 このように運用利回りを思いっきり高く設定したのが今回の年金計算のミソで、そうしないと将来50%の年金が確保されないからである
高速道路や新空港の建設時に将来予測を思いっきり高く設定するが、それとまったく同じ手法だ。

 今回の年金試算は将来可能な運用利回りのほぼ2倍の利回りで計算し50%可能としたのだが、実際の給付水準は現行の62.3%37.7%前後になるはずだ62.3%-50%=12.3%。運用利回りが半減すればこの2倍は給付水準は減少するはずだから、50%-12.3%=37.7%
私が試算するとこうなり、とても50%を維持することはできない

 また名目賃金伸び率も不思議な数字で、01年以降まったく伸びていないのだが、毎年2.5%伸びると言う数字の根拠がわからない。将来にわたって名目賃金も増えないと仮定した方がよさそうだ。

 これも数字のマジックで、もし名目賃金が増えなければ、給付割合が減ると将来もらえる年金額は減少する。
これでは現役のサラリーマン等が納得しないから、名目賃金を上げてせめて年金額の数字だけでも増やそうとしたのだろう。

 
 今回の年金試算ははっきり言っていかさまである。ありえない運用利回りを想定して国民を安心させようとしているだけだ。しかしそんなことはありえないのだから「50%なんてまったく不可能です」と言うべきなのだが、単に政治的配慮で言えないだけだ。

 

 



 

 

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