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(20.12.7) タイの政局は不思議の国のアリス

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 このところのタイの政局については通常の日本人にとって理解の範囲を超えている。
首相府が3ヶ月以上占拠されたままだったり、2つの国際空港を反政府勢力が10日あまり封鎖しても政府はなんら対策も取らず、首相は北部のチェンマイにこもったきりバンコックには戻ってこなかった。

 これがどんなに異常かは日本に置き換えてみれば分かる。首相官邸に反対派が押し寄せたり、羽田や成田空港が占拠されそうになったら、すぐさま機動隊が出動して反対派をたちどころに排除し、バリケードを築いて一人として通過させないだろう。
当然首相が北海道あたりにこもることもない。

微笑みの国」といわれて久しいタイでは、国民は首相府も国際空港も誰が占拠しようと「微笑ん」でただ見ているだけなのだろうか。

 ソムチャイ首相が率いていた国民の力党(実際は連合政権は、昨年の選挙で第一党になり内閣を組織しているのだが、陰の権力と言われる軍隊も、また警察も、裁判所も、そして何より国王までもソムチャイ首相を見捨てていたようだ。

 反政府組織の国民民主主義連帯PADが国際空港を占拠した翌日、タイ陸軍司令官は「私が首相だったら当然辞任する」と公然と辞任要求をだすし、警察はPADを強制排除をするそぶりすら見せなかった。

 挙句の果てにタイ憲法裁判所がソムチャイ氏が率いる国民の力党が、昨年の総選挙で有権者を不正に買収したとして政党の解散を命じてしまった。
ソムチャイ首相は「私の任務は終わった。私は今や平凡な市民だ」と声明を出して、内閣を総辞職した。9月に首相になってから3ヶ月も立っていない。

 よってたかってソムチャイ氏を首相から引き釣り下ろしたようなものだが、ソムチャイ氏率いる国民の力党はそんなに問題なのだろうか

 実は国民の力党の前身、タイ愛国党は遅れたタイ北部の開発や、農村地帯の振興策をとり、経済成長も7%前後と好調で、アジア危機でIMFからの借入た借金も返済し経済政策としては申し分のない実績を示していた。
このタイ愛国党2001年から率いていたのがタクシン氏だったが、2006年9月に汚職の嫌疑で首相を解任されてしまった。

 軍事クーデタが発生したからである。軍政は約1年続き2007年12月に民政移管の総選挙を実施したら、軍の予想に反し再びタイ愛国党の流れを汲む国民の力党が第一党になってしまった。
タクシン元首相は海外に亡命中だったため、タクシン氏の傀儡と言われたサマック氏が首相になった。

 このサマック首相が「テレビの料理番組に出場して出演料を取ったのが憲法違反」だとタイ憲法裁判所から弾劾され解任されたのがこの9月で、その後を今回解任されたソムチャイ氏が首相を勤めていた。
このタイ憲法裁判所の判決はかなり言いがかり的だと思う。

 なんてことはない、国民の力党の党首は憲法裁判所が違憲判決を出して引き摺り下ろすか、それでもダメならば軍隊クーデタを起こして引き釣り下ろす訳だ。
しかし選挙を行なうと国民の力党が国民の支持を得て第1党になってしまうのが不思議だ。
民主主義社会では選挙結果を尊重するのが基本原則だが、タイではこの原則は当てはまらないらしい。

 私などはなぜ国民の力党がこれほどまでいじめられるのか訳が分からない。タクシン元首相が強権的だったとか、国王をないがしろにしたとか、農民に対するばら撒き行政をしたとか言われているが、本当の理由が分からない。

 かえって遅れた農村部と北部地域の振興に力をいれ、今まで政治的意見を述べることのなかった農民の圧倒的支持をえて、選挙で第一党になったのだから全く問題がないはずだ

 タクシン元首相の汚職嫌疑やサマック前首相の料理番組の出演料受領や、2007年12月の総選挙の買収工作容疑も、かなりでっち上げの感がある。
確かにそうした事実はあったのかもしれないが、反対派だって同じなのがタイの政治状況だ。はっきり言ってどっちもどっちなのだ。

 今回の一連のタイの政局の流れはやはり通常の日本人には理解不能と言えそうだ。まさに不思議の国のアリスの世界だ。

 

 

 

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