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(20.12.19) 急停車し始めた台湾経済

Images2  台湾経済が、ほとんど急停車といってよいような速度で止まり始めた。2001年ITバブル崩壊で一度はマイナス成長に陥ったものの、その後は5%前後の安定した成長を遂げ、07年は5.7%もの高成長だったのが嘘のようだ。

 08年に入り、第一四半期が6.25%、第二四半期が4.32%で順調そのものだったが、第三四半期(6~9)は▲1.02%と大失速だ。
全ては中国が原因である。中国への輸出が急速に落ち込んでいるためだ。

 台湾経済は日本と同様輸出産業で持っているのだが、輸出の約5割は中国向けだ。台湾は中国に対し三通政策(通航せず、通信せず、通商せず)をとってきたが、実は名ばかりで中国の改革解放の波にのって約5万社の企業が中国に進出し,100万人近い台湾人が中国に常駐している。実際は中国経済が台湾の生命線といってよい。

 その台湾経済電子産業で持っているといっていいほどなのだが、一般にはあまり知られていない。理由は台湾のメーカーがもっぱらODM(委託先設計による生産)による生産を行なっており、会社名が表にでないため、たとえばデルアップル東芝の名前は知っていても、エイサーアスーステックを知らない(ただし、エイサーについては最近は独自ブランドの製品が多くなっている)。
実際はノート型パソコンマザーボードのほとんどと、液晶パネルのかなりの部分が台湾製である。

 しかもこうした製品は現在ではほとんどが中国で生産されている
2001年のIT不況の後は、台湾の電子産業は大挙して中国に工場を建設して、最終製品の組み立てはもっぱら中国で行なうようになった。
人件費が格安だったからである。

 現在では台湾から部品を輸出し中国で組み立て、アメリカに輸出する構造が確立している。
だから中国の電子産業とは実際は台湾の電子産業なのだが、サブプライムローンのつまずきでアメリカが不況になって、ノート型パソコンも液晶ディスプレイも全く売れなくなってしまった。

 台湾の輸出は対前年同月比9月が▲1.6%、10月が▲8.3%でこの先どこまで落ちるか分からない。
当初08年のGDP4.30%増加すると予想されていたが、最新の予想は1.87%と半減し、第4四半期の数字が出る頃にはさらに低下して、ほとんどゼロ成長に近くなるだろう。
09年度は日本と同様マイナス成長もありうる。

 台湾経済日本のコピーのようだ。輸出立国で主な産業が電子産業だ。違いは独自のブランドを持たず(ただしエイサーは持っている)、もっぱらODM生産で組み立てはほとんどが中国で行なっていることだけだ。

 だから台湾経済は日本のキャノンや東芝、シャープ、パナソニックのような企業の動向と全く同じだと思っていい。
日本の輸出産業が大失速しているように、台湾の輸出産業も大失速している。中国では進出した電子産業のアスースが45、000人の解雇をしそうだと大騒ぎだ。

 馬英九政権も頭が痛いだろう。せっかく三通政策の解除をしはなばなしいセレモニーを行なったのに、中国との輸出入が時を同じくして大失速し始めた。
これでは何のための三通政策解除か分からない。

 中国は来年度8%の成長を目指すといっているが、ほとんど不可能だろう。中国は輸出だけで持っている国だ。いくら公共事業を拡大してもかつての日本の失われた10年と同様、数%の低成長となると思ったほうがいい。

 そして中国は台湾の生命線である。生命線が数%の成長では、台湾経済の動向もほぼ決まったようなものだ。

(23.6.2追加)台湾経済は08年,09年と低迷したが10年度から大復活を遂げて現在絶好調になっている。

 

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コメント

エイサー  →最近は、UMPC(ウルトラモバイルパソコン、ネットブックともいう)でテレビCMもしている

アサステック→アスーステックの間違い

クァンタ→クアンタムのこと? ハードディスク部門は2001年にマックストアに売却した。そのマックストアも2006年にシーゲイト・テクノロジーと合併し、商標としてのみ存続。

(山崎) ご指摘ありがとうございます。エイサーについては注意書きを入れます。アサステックについては「アサステック」でも「アスーステック」でも通ずると書いてありましたので、「アサステック」と書きましが、「アスーステック」に変更しました。
「クァンタ」は確かに「クアンタム」が正しく、またここの事例としてはふさわしくないので消去しました。
本当にすぐに教えていただき、心から感謝いたします。

投稿: A | 2008年12月19日 (金) 06時07分

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