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(20.12.13) ヨーロッパの暗い闇 ギリシャの暴動

Images6  ギリシャで暴動が燃え上がっている。元々はアテネ有数の不穏な地域に暮らす15歳の少年を警察官が射殺したことに始まった。
これに抗議してこの少年の仲間達(アナーキーと呼ばれている)や、大学生がすぐさま反発し、それに野党の全ギリシャ社会主義運動PASOK)が政権奪取の好機とばかりゼネストを打ったものだから、ギリシャ社会は大騒ぎになってしまった。

 商店街は焼き討ちにあい、警察署や役所や銀行が破壊の対象になっている。すでにアテネの565箇所の商店等が焼かれ、被害総額は240億円にのぼるとギリシャ商工連合会が発表した。

 ギリシャではアナーキーと呼ばれる行き場を失った若者がたむろしている。元々ヨーロッパは若者が職を得るのが難しい社会構造といえるが、ギリシャには海運業と観光業、それに政府関連の企業以外にはまともな職場がない。
ギリシャ全体の失業率は8%程度だが、若者(15歳~24歳)の失業率は25%程度だ。実に4人に一人が失業者になっている

 通常若者が職を得る方法は、(国内の大学はレベルが低いため)著名な外国の大学を卒業するか親のコネで政府関連の職場を見つける以外に有効な手段を持っていない。
学業を途中で放棄した若者はほとんどが失業者となって街にあぶれ、酒を飲んでは警察官に悪態をついている。
ポリコー、死んでしまえ

 したがって若者と警察官との間には常に緊張関係が存在し、一触即発の雰囲気だ。
アナーキーと呼ばれる若者は事あるごとに、警察署や役所や一般商店を焼き討ちするし、警察官はアナーキーをたたき潰す機会を虎視眈々と狙っている。
だから今回の警察官による15歳の少年の射殺事件は起こるべくして起こったと言う側面が強い。

 現在の政権を担当しているのは新民主主義党ND)のカラマンリス政権だが、中道右派政権で300議席中151議席と、かろうじて過半数を維持しているにすぎない。
しかも閣僚が修道院の跡地の取引で私服を肥やしたと野党から追求されているし、不人気な年金改革(支給年齢の引上げと支給額の削減)を実施しようとしている。財政赤字をEUの基準である3%以下にしておかなければならないからだ。
年よりは死ねと言うのか」年金改革に対する老齢者の不満は大きい。

 レベルの低い大学の教育改革は遅遅として進まず、かつ大学は治外法権を持っているため警察官は大学構内に入れない。それをいいことにアナーキーといわれる若者や大学生は、危なくなると大学に逃げ込みそこでしこたま火炎瓶を仕込んでまた街に焼き討ちに出てくる。

 野党のPOSOKパパンドレウ党首は「事実上無政府状態だ。我々は政権交代を要求する」と言って総選挙を直ちに実施するようにカラマンリス首相を追い詰めている。
政権奪取のチャンスだ。全てを政争にしろ」小沢党首のようだ。

 ギリシャは難しい国だ。西欧と東欧の中間地点に位置し、国内は右派と左派で二分され左派政権と右派政権が交互に政権を取りあってきた。そのたびに政策は大きく変る。
経済成長は毎年4%前後で好調だったが、海運業と旅行業を除けば国内にまともな産業はなく、貿易収支はいつも大幅な赤字だ。

 この赤字を埋めていたのが海運業と旅行業の収入、それに海外移民のからの送金、そして外国からの投融資だったが、金融危機を契機に一気に経済状況は悪化してきた。

 元々職場がなく未来のなかった若者にさらに追い討ちをかけるような経済状況だ。
鉄鎖以外失うものはない
ヨーロッパではドロップアウトした若者には職場がない。アナーキーと呼ばれるこうした若者は、日本のやくざと同じで表社会に住むことができない。

 このギリシャの若者の反抗はやはり世界的な経済危機が原因だが、元々底流にあったギリシャの暗い闇を呼び覚ましてしまったと言えよう。



 

 

 

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