(20.11.2) 麻生総理は希代の強運児だ
麻生首相は本当に強運な首相だと思う。福田前首相が公明党に寝首をかかれ無念の退陣を余儀なくされたが、100年に1度の金融恐慌を追い風に、公明党の解散戦術を封じてしまった。
自民党にはどうしても解散できない理由がある。今選挙を行なえば過半数割れは確実で、場合によっては民主党が小泉郵政選挙の逆バージョンで3分の2をとるかもしれない。
確実に負ける選挙など誰もしたくないもので、総選挙に打って出るとは自殺をすることと同義語だ。それでも11月末の総選挙が実施されるとマスコミが報じていたのは、自民党のかく乱戦術が功を奏したからである。
細田幹事長はじめ、自民党の重鎮がいづれも11月選挙に言及していたが、これは民主党を欺いて新テロ対策法案を通過させるための高等戦術であることはすでに述べた。
「自民党に神風が吹いている」参照(リンクが張ってあります)
これにひっかかって民主党は衆議院ではあっさりと新テロ対策法案を通過させたが、さすがに怪しいと気づいた。
「わが党は麻生首相にだまされているのではないか」
はっきりと麻生首相のペテンにかけられたことが分かったのは、首相が30日、追加経済対策を発表した時である。この記者会見で年内の衆議院解散はしないことを明確に述べた。
「今は政局より景気対策である」
民主党は参議院での新テロ対策法案の審議を、一転慎重審議に変更したが、首尾一貫性のないことこの上ない。
民主党以上にだまされたのは公明党である。麻生首相は公明党にも11月30日投票の日程を伝えていた。
公明党がこの時期の選挙日程を望んだのは来年の夏に行なわれる都議会選挙とのバッティングを避けようとしたからだ。
「両方の選挙に党員や支持者を動員する余力はない」
このあたりは公明党独特の選挙運動の方式に関連している。
麻生首相から総選挙の延期を伝えられた公明党の太田代表は「了承したといえば、了承したと言うことだ」とコメントしたが、無念さがにじみ出ていた。
「今までの選挙協力をどう考えてるんだ」本心は歯軋りする思いだろう。
麻生首相としては「2兆円の特別減税を飲むから、衆議院解散は先延ばしを了承してくれ」と説得したようだが、まさに「してやったり」と言うところだ。
「2兆円で政権が伸びれば安いものだ」
麻生首相の本音はなんとしても来年9月の衆議院の任期までは解散しないと言うものだ。
「来年9月まで持てば、俺も安倍さんや福田さんと同じように1年は政権を担当したことになる。そうすれば選挙管理内閣と言う汚名をきせられないし、うまくいけば民主党が自分で転んでくれるかもしれない。
なにしろ政治は一寸先は闇の世界だ」
世界中が金融恐慌で大騒ぎになったので、本当は世界で一番安定している日本の経済状況を騒ぎ立てて、追加経済対策まで策定した。
「これを通さないと日本が沈没する」脅しをかけている。
公明党は泣く泣くついてきたので、衆議院での再可決の体制が整い、何でも法案が通りそうだ。
逆風を追い風にしてしまうところは、オリンピックのヨット選手のようだ。ホテルのラウンジで食事を取りながら、きっとほくそ笑んでいることだろう。
「金融恐慌が続く限り、俺の政権は安泰だ」
麻生総理は本当に強運の人だと思う。
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