(20.11.15) なぜ韓国と中国は沈黙しているのだろうか 田母神論文
信じられないような沈黙が続いている。前航空幕僚長田母神(たもがみ)俊雄氏の懸賞論文に対する韓国・中国の対応である。
田母神氏の論文は「日本は侵略国家であったの か」と題しおおよそ以下のような論説になっている。
太平洋戦争の開戦については「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり、真珠湾攻撃を決行」したのであり、全て日本の責任とは言えず「戦争責任を全て日本におしつけようとしている(連合国の)マインドコントロールから解放されなければならない」し、
また19世紀後半以降の日本の朝鮮半島や中国への軍事的行動は「相手国の了承の元に行なっており」また日中戦争については「蒋介石によって引き釣りこまれたもの」で日本は被害者だと言うものだ。
本懸賞論文を発表したあと田母神氏は浜田防衛相によって更迭され、定年退職したのだが、日本のマスコミがテンヤワンヤの大騒ぎをしているのに対し、韓国・中国の報道は従来の歴史観問題に比較すると、信じられないような沈黙を守っている。
たとえば韓国は外交通商省の報道官名で「歴史の真実をごまかすもの。こうした歴史歪曲が繰り返されてはならない」とあっさりと述べただけで、抗議としては最も低いレベルの抗議にとどまっている。
また中国は外務省の副報道局長が「自衛隊の現役の高官が公然と歴史を歪曲し、侵略を美化したことに非常に驚き憤慨している」が「日本政府が表明した態度とすでに取った措置は知っている」ので、問題をこれ以上荒立てるつもりはないとの態度だ。
過去歴史認識問題が発生する都度、ノムヒョン韓国大統領や、江沢民中国国家主席が声を荒げて抗議し、「日本人のやつらを再教育する」と息巻いていたのとは大違いだ。
韓国も中国も過去にばかりこだわらず、大人の付き合いが出来るようになったのだろうか。
とても不思議だ。
ホームズとワトソン君に謎解きをしてもらおう。
「ホームズ、今回の田母神前航空幕僚長の歴史認識問題では、日本のマスコミだけがフィーバーし、いつもはすぐさま日本避難をしてきた韓国や中国が沈黙を守っている。なぜだろうか」
「韓国と中国はそれぞれ違った理由で沈黙しているのだが、目的は日本から金を引き出すためだ」
「よくわからないな。具体的に説明してくれないか」
「韓国については、今倒産前夜と言っていい位経済状況が悪い。韓国ウォンは40%近く値下がりしており、ほとんど暴落といっていいほどの状況だ。株価はやはり昨年と比較すると半減している。
そうして何より問題なのは貿易立国の韓国でほとんど毎月のように貿易収支が赤字なのだ。
市場関係者はアジアでIMFの支援を仰ぐ国はパキスタンの次は韓国だと思っている」
「韓国の経済状況は分かったが、それと歴史認識はどう関係するんだい」
「韓国は日本の金融支援がなんとしてもほしいんだ。過去に韓国は一度倒産してIMFの支援を受けたが、融資条件が非常に厳しかった。
この経験から支援を得るには日本が一番だと悟った。なにしろ日本に対してはIMFと異なり踏み倒しが可能だからだ。過去の贖罪だといえば日本が怯むのを知っている」
「そうすると韓国は日本から金を巻き上げるまでは歴史認識のカードは切らないというわけか。中国も同じかい」
「中国は韓国とは違う理由だ。
今金融危機の影響を最も受けていない国は中国と日本だ。一方アメリカは金融危機で唯一の覇権国家から滑り落ちそうだ。中国はこの機会をチャンスと見て、アジア経済圏を独自に作ろうとしている。
その時のパートナーを日本にしたいのだ」
「具体的にどのようなことをしようとしているんだい」
「アジアでIMFのアジア版を作って、そこに中国と日本から出資を募る。このとき中国の出資割合を日本より高くして、実質的に中国のアジア銀行にする。日本は単に資金だけを出す従属国にしたい。
現在のIMFのアメリカと日本の関係と同じだな」
「しかし麻生首相はIMFに10兆円拠出するといっているが」
「確かに今はまだ日本はアメリカ組にいるが、中国はなんとしても日本を中国組に入れたいのだ。なにしろ日本のGDPは中国の4倍で金がある。
『日本は金だけ出せ、政治は俺がしてやろう』と言うわけだ。EUのフランスとドイツの関係にも似ているね」
「そうすると中国も日本の金を当てにして歴史認識を棚上げしているわけか」
「中国にとっても韓国にとっても、歴史認識は日本を揺さぶる最後のカードだ。今切ってしまうと、日本からの資金は得られない。
資金さえ得られれば後は歴史認識で踏み倒せる。
だから今は田母神論文は日本のメディアだけがフィーバーしている訳だ」
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