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(20.10.7) 世界恐慌前夜 金融危機から実体経済の危機へ

Images1_2    人間長く生きていると信じられないような経験をすることが出来る。1929年に始まった世界恐慌については、世界史や日本史でまなび、「当時の人はケインズ革命を知らず、財政金融政策もなってなかったんだな」なんて軽蔑していたがひとごとでなくなってきた。

 とうとうアメリカの金融危機実体経済を蝕みはじめ、世界恐慌前夜に突入してしまった。
金融安定化法案はすったもんだの挙句に3日、賛成263票反対171票で可決したが、市場の評価はまったくダメで、ダウ平均で157ドルも下げている。
どうやらこの法案だけでは金融危機は収束しないな。この制度を利用する金融機関は倒産寸前の金融機関だけだ」そう市場は評価した。

 アメリカ経済は金融問題に忙殺している間に、確実に実体経済が麻痺し始めている。GDPの約70%が消費で成り立っているが、その消費が低迷し始めたからだ。
消費財のうち最も大きいのが住宅の購入で次が自動車の購入だが、どちらも全く売れない。

 世界から金を集めて、古代ローマの栄華を誇っていたアメリカだが、サブプライムローンでケチがついた。
アメリカの証券化商品は欠陥品だ。こんなのを買うのは止めよう」世界が気づき、アメリカから資金が逆流している。

 すでに住宅価格は06年ごろをピークに下がり始め、大都市部では20%余り低下したといわれる。これがサブプライムローン問題の引き金になっているのだが、たった20%程度で問題が起こるところが、この問題の複雑なところだ。
考えてもほしい。バブルがはじけて20%程度の低下で終わるはずがない

 日本では土地バブルがはじけて、価格は最高時の3割程度まで下がった。70%の低下だ
私が住んでいる土地はピーク時6000万といわれ、「俺もなかなか金持ちじゃないか」なんて思っていたが、今の実勢価格は2000万程度だ。
もう少し公的な資料で見ると、京都市の都市部の公示価格は平成3年に74万円/㎡だったのが、平成15年には22万円/㎡と、これも最高時の30%程度に低下している。

 バブルがはじけると、価格は最高時の3割程度になってしまうのが普通だ。
だからアメリカの住宅価格が20%低下だということは、さらに50%低下する余地が有るということで、これがアメリカ経済の未来を暗くしている。
アメリカの危機はこれからが本番だ」市場の認識だ。

 すでに住宅建設はピーク時の半分近くに落ち込み、中古住宅はほとんど買い手がいない。差し押さえた住宅が185円で落札されたと新聞に載っていた。

 自動車について言うと、9月の新車販売台数が軒並み前年同月比対比で30%減になってしまった(GEだけが特別キャンペーンで▲16%)。世界の新車販売の2割強を占めるアメリカ市場の不振は痛い。

 しばらく前までは日本車は低燃費とハイブリット車でアメリカ市場を席巻していたが、日本車も売れなくなった。住宅価格の低下により、家の含み益で自動車を購入できなくなったのが原因だ。
アメリカではホーム・エクイティー・ローンという一種の消費者ローンがあり、住宅価格から住宅ローンを差し引いて余りがあれば、ローンを組むことが出来る。

 このホーム・エクイティー・ローンが消費を牽引してきたが、住宅価格が低下すると、ローンを返済しなければならない。歯車が逆回転している。


 失業者も急拡大し、9月の失業者は16万人増加して、失業率6.1%だ。これは03年3月以来の大幅な増加だ。
そして景気の先行指数である株価は低下の一途をたどり、ドルは世界中で売られている。
ドルは今に紙くずになるぞ

 あらゆるデータが景気に急ブレーキがかかったことを示しており、アメリカ経済は恐慌前夜にあることが分かる。
しばらく前までは原油価格200ドルまで行くのではないかと心配していたが、今は景気後退で50ドルまで低下して、産油国特にロシア経済が立ち行かなくなることを心配している。

 アメリカは金融工学で舞い上がり、今はその金融工学によってまっさかさまに墜落している。自由放任主義の経済運営の時代は終わり、再びケインズの時代が到来した。
フリードマンさん、さようなら。ケインズさん、いらっしゃい」大合唱が始まった。

 しかしこの恐慌を飼いならすまでは世界経済は相当の期間荒波にもまれそうだ。日本の失われた10年どころではなくなってきた


(注)この記事と関連する記事は、カテゴリー「評論 アメリカ経済」に入っております。

 

 

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コメント

■現在の金融危機は2003年当時からすでに予測されていた!!―真の原因は誤った個人主義であり、いまこそ社会変革が必要だ!

こんにちは。今日の金融危機は、2003年あたりからすでに予測されていました。私のブログでは2003年のNHKスペシャル「個人破産―アメリカ経済がおかしい―」の動画を掲載しました。この動画をご覧になると、今日の金融危機すでに十分懸念されていたことが分かります。今日、その懸念はアメリカ金融機関の崩壊という形で現実のものとなりました。この動画では、消費者に無理に消費を強いることにより今日の事態を招いたことがはっきりと示されています。現在、ITバブル崩壊、株価低迷、消費者の旺盛な消費もなくなり、次の時代に何をすれば良いかが見えない時代になっています。しかし、私は、今こそ真剣に社会変革に取り組む時期に来ていると思います。これが、アメリカの実体経済をも良くする唯一の道だと思っています。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

(山崎)ブログを読まさせていただきました。とても参考になります。添付されていたNHK特集も見てみました。感想については別途ブログで記載したいと思っております。
なお、今後yutakarlsonさんのブログを見るようにします。

投稿: yutakarlson | 2008年10月 7日 (火) 14時42分

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