(20.10.3) 朝青龍の引退が近づいた
どうやら朝青龍の引退が近づいてきたようだ。この秋場所の相撲を見てその感を深くした。
九日目まで5勝4敗となって休場したのだが、特に九日目の安馬との対戦は全く気力が見られず、得意のまわしをたたきつけるしぐさが見られなかった。
アナウンサーも驚いて「いつものまわしをたたくしぐさがありませんが・・・」と言っていたが相撲は安馬に完敗し、しかも完敗したことに何か諦めたようなうつろな目をしていたのが印象的だった。
朝青龍に言わせると「左肘が痛くて動かなかった」からだそうだが、それよりも気力がなえたのが敗因としか思われない。
思えば朝青龍は人一倍気力で他を圧倒して勝ってきた力士で、気力がなえてしまえばただの力士とかわらない。
これは格闘技をしたことがある人は経験的に知っているが、次のような法則がある。
① 実力も気力も勝っていれば勝つ確率は90%以上
② 実力が同じで気力が勝っていれば勝つ確率は70%~80%程度
③ 実力が下で気力が勝っていれば勝つ確率は50%前後
従来の朝青龍は上記の①にあたり、それゆえ過去に22回優勝するなど大横綱の名をほしいままにしていた。
朝青龍に最初の黄昏が訪れたのは、2006年の5月場所で若の里戦に破れ右肘をいためた時からである。
この頃から上記の②に徐々に移行し始めた。身体に故障がでると、稽古をまじめにできなくなって実力が衰える。
そして明らかに朝青龍に黄昏が訪れたのは2008年7月場所で5日目に栃乃洋に押し倒されて左肘を痛め、6日目から休場したときからだ。
左肘は朝青龍の利き腕だ。全く相撲が取れなくなった。
これで朝青龍は上記の③になってしまった。稽古はほとんどしておらず気力だけで相撲をとっていたが、最後の安馬戦では気力もなえてしまったらしい。
これで二場所途中休場に追い込まれており、来場所出場したとしても、中日までに3敗してしまえば引退声明を出さざる得ない状況だ。用心して来場所を休場しても、次の場所が試練の場所になる。
まだ28歳であり、本来ならばこれから数年は横綱を張ることが出来るはずだが、気力のなえた朝青龍ではとても勝てない。
やはり次の出場場所で引退声明に追い込まれる確率は非常に高いと思われる。
かつては本場所で敗れた相手を稽古で徹底的に痛めつけて再起不能近くまで追い込んでいたのがうそのようだ。
高見盛はレスリングのバックドロップで右肩を亜脱臼させられ、琴欧州は右膝の靭帯を損傷させられ、琴奨菊を徹底的にぶつかり稽古でいたぶって腰を負傷させ、豊ノ島は右肘を損傷させられた。
おかげで各部屋から出稽古禁止を通知されて、鬼のように恐れられていた。
無謀な稽古で力士に怪我をさせたり、無用なダメ押をしたり、負けてバケツを蹴飛ばしたり、悪態をついたりしていたが強い横綱ゆえ許されていた行為と言えよう。
しかし弱い横綱では誰もかばってくれそうもない。唯一の庇護者だった北の湖理事長も辞職してしまった。
貴乃花が引退したのは30才、千代の富士は35才だった。朝青龍の28才はいかにも若いが、誰も引退をとめる人はいないだろう。
やはり堺屋太一氏が言った言葉は正しい。
「日本では鬼は退治される。織田信長も大久保利通も鬼として退治された」
そして今朝青龍が退治されようとしている。
(注)画像は「朝青龍問題を考える視座」と言うブログに掲載されていた写真を転写したものです。
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