(20.10.20) 自民党に神風が吹いている
政治の世界は「一寸先が闇」と言われるが、自民党に神風が吹いている。サブプライムローン問題で世界経済が恐慌状態に突入しそうなため、麻生首相の言う「景気対策」が脚光を浴び始めた。
元々は選挙管理内閣と思われ、臨時国会冒頭の解散もささやかれていたが、補正予算を通し、さらに追加の経済対策を策定するまでは解散しそうもない。
さらに新テロ対策防止法まで通りそうな雰囲気になってきて、「これなら解散なんてする理由がないじゃないか」とはしゃぎだした。
実は自民党は今選挙を行なえば惨敗することが分かっている。自民党が独自に行なった次期衆院選の情勢調査では、公明党とあわせても230議席がせいぜいで、過半数の241議席にとうてい到達しないと報告された。
最悪は小泉郵政選挙の逆バージョンで民主党が3分の2まで議席を伸ばすことも考えられる。
「まずい、出来る限り解散はせず、来年9月の衆議院の任期まで延ばそう」麻生首相、細田博之幹事長、古賀誠選挙対策委員長は腹固めをした。
さっそく細田幹事長が「解散して民意を問うて勝利を収めて、景気対策を打ち出すことが好ましいのではないか」と言ったが、これは民主党を欺くための高等戦術である。
そもそも、絶対に選挙で勝てないのだから「民意を問う」たら大変だ。これは解散にあせっている民主党を選挙対策に走らせて選挙資金を枯渇させるためと、新テロ対策防止法を衆議院で通過させるための戦術だ。
「民主党はあせっている。テロ対策防止法の審議に応じてきた。これで公明党も再議決に応じざるを得まい」思惑通りだ。
補正予算が通り、追加の経済対策が通り、新テロ対策防止法まで通れば、解散する理由はゼロになる。
まさにサブプライムローンさまさまだ。
麻生首相は日本の経済状態がアメリカ、ヨーロッパに比較して格段に良く、本当は金融対策などしなくても問題ないのだが、最大限に危機をあおることによって政権基盤を維持しようとしている。
町村前官房長官が「空気は11月中旬ごろの選挙」だと言い、森元首相が「11月中に選挙が行なわれるようなスケジュールを考えている」と言い、古賀誠選対委員長が「首相の銃の引き金に手がかかるところまできた」と言っているが、すべては民主党を選挙運動にはしらせるためのプロパガンダだ。
「民主党は金がない。選挙対策をやらせて資金を枯渇させろ。民主党の金がなくなったときに総選挙をおこなえば、過半数は確保できる」相手が弱るのを待つ自民党の高等戦術である。
金融危機が続く限りこの危機をあおり、一方で解散をにおわす瀬戸際政策は有効だから、まさに自民党に神風が吹いている。
「うまくいけば自民党政権は継続できるぞ」麻生首相は相当な狸だ。
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コメント
お久しぶりです。記事とはなんの関係もありませんが、金曜日にうさ吉にKさんといったら、グーグルおじさんにお会いしました。前日に山崎さんもいらしたとか。グーグルおじさんはさすがに博識で、とても楽しい時間をすごしました。さすがに山崎さんのネットワークはすごいですね。グーグルおじさま。よかったら読書会にもいらして下さいませ。
投稿: めいちゃん | 2008年10月20日 (月) 11時23分