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(20.10.18) アメリカ金融危機のツケは誰が払うのか

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金融危機
に対しアメリカが約70兆円公的資金を導入することにしたが、一体この資金はどこから出てくるのだろうか。
アメリカ人は「金融機関の失敗を国民に押し付けるとはけしからん」といきまいているが、本当にアメリカ国民が負担するのだろうか。

 通常こうした追加資金の調達には増税借金以外に方法はない。増税についてはブッシュオババマケインも全くする気はないから、残された道は国債発行という借金になる。

 借金(国債発行)の場合もいくつかのパターンがあり、 個人に買わせる、② 金融機関に買わせる、 ③ 中央銀行に買わせる(ドル紙幣の印刷)、④ 外国人に買わせる、の4パターンがある。

 このうちはありえない。アメリカ人は世界で最も貯蓄をしない人種であり、個人が国債を購入することはほとんどないし、金融機関はそもそも倒産の危機に陥り、そこに公的資金を投入しようとしているのに購入できるはずがない。

 そうすると残りはになるが、この二つは実体経済に対する影響が全く違う。の中央銀行に買わせると、これは通貨発行量の増大となり、通常はインフレが更新する。
過去、第一次世界大戦後のドイツや、ソビエト崩壊後のロシアはこの例で、スーパーインフレーションに陥ってしまった。
実体経済が拡大していないのに通貨だけが増えたからである。

 アメリカの場合はドルは世界の機軸通貨であり、世界の経済規模が拡大さえしていれば必要な通貨量は増大する。したがって中央銀行引き受けドルの印刷)は必ずしもインフレーションにはならない。(注1)

 しかし08年から09年にかけて、世界経済は確実に停滞するはずだから、ドル紙幣の増加はインフレにつながり、世界的規模でドル安が進んでしまう。

まずい中央銀行引き受けはダメだ。こういうときは強いドルを守るため、日本と中国に国債を売りつけよう」アメリカ政府は必ずそう考える。外国人が持っているドルをかき集めるわけだから、インフレにはならない。

日本と中国にアメリカ市場で十分に稼がせてやっているのは、このときのためだ。貿易で儲かった分は全部返してもらうのが筋だ」アメリカの本音である。

 従来アメリカは毎年の赤字約100兆円を埋めるため国債を発行して主として日本中国に購入させてきた。それが2008年の大盤振る舞いと、公的資金の導入等で100兆円では効かなくなって、約230兆円規模の資金が不足し始めた。

 内枠は以下のとおりである。
① 減税       15兆円(ブッシュの景気刺激策)
② イラク戦費    24兆円(イラクへの増派で新規に追加)
③ 財政赤字    45兆円(増加傾向)
④ 金融機関救済 70兆円(今回新規)
⑤ 貿易赤字    75兆円 

  合計      229兆円


 新規に増えたのは、減税と金融機関の救済、それと自然増であり、約130兆円を新規に割り当てなくてはならない

日本と中国を脅して、国債を購入させよう。『買わなければFRB引き受けになり、米国債の価格が暴落するがそれでいいのか』とおどそう。それでビビルだろう」アメリカの戦略である。(注2

 アメリカは金融危機のツケを全て、日本と中国に押し付けて自分の懐は全く痛めずに乗り切ろうとしている。
日本と中国が泣く構図だ。


 これに対し日本はどう対処するのだろうか。戦略としては以下の方法が考えられる。

① 60兆円程度の国債を新規に購入し、強い米ドルを支援する(従来どおりの戦略だが、いづれはアメリカと共倒れになる)。

② アメリカの申し入れを拒否し、米国債の減価に耐える(アメリカ国債の減価に耐えなければならないが、将来日本の世紀になる可能性がある)。

③ 増加分のうち30兆円程度新規に購入し、残りはFRBに引き受けてもらう(日米痛み分けの構図)。

 
どうも日本人の行動パターンからすると、③を選択しそうな気がするが、それだと日本がアメリカにかわる千載一遇のチャンスを逃してしまう。

猿の惑星は、今目の前にあるのだが・・・・・・・・

(なお、本件と関連する記事は、カテゴリー「評論 アメリカ経済」に入っております)

(注1)フィッシャーの貨幣数量説では以下の恒等式が成り立つとされる。 M*V = P*T

M 流通貨幣(通貨)の総量
V は貨幣の"流通速度" 
P は物価水準
T は"取引量"

ここでVとTが一定と考えると、貨幣量の増加は物価の高騰につながる。
一方、Vだけが一定として、取引量が拡大していれば、通貨量の増大は必ずしも物価の高騰とはならない。

(注2) 現在日本が保有するアメリカ国債の総額は400兆円から500兆円程度と推定されている(正確な資料は公表されていない)。したがって1ドル50円程度のドル安となると、日本は200兆円から250兆円の損失が発生する。

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評論 世界 アメリカ経済」カテゴリの記事

コメント

http://www.treas.gov/tic/mfh.txtにありますよ。

(山崎) ありがとうございます。実はこの数字は見ていたのですが、これによると20年8月時点での日本の国債保有高は約59兆円になります。私が悩んでいるのはこの数字が本当の日本全体の米国債の保有高といっていいものかどうかと言うことです。
なぜそう思うかと言うと、米国債は市場性があるので売り買いされて残高は変動するはずですが、その残高をアメリカ政府は補足できるのだろうかという疑問なのです。

もしかしたら、この数字はアメリカ政府が知っているだけの数字で、本当の数字とは乖離しているのではなかろうかと、疑っているのです。

投稿: ma | 2008年10月19日 (日) 01時08分

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