(20.9.3) 自民党幕府の幕末
ついに自民党幕府が幕末を迎えた。最後の将軍福田康夫は政権をほうり投げた。臨時国会という鳥羽伏見の闘いの前に徳川慶喜と同様敵前逃亡をした。
安倍政権が崩壊してからちょうど1年目だ。
政権末期になると首相の任期が極端に短くなるのはどこでも同じだ。
臨時国会はこの12日から開催される予定だったが、08年度補正予算案以外は全く成立の目処が立っていない。
公明党が新テロ対策特別措置法を再可決するための国会日程に難色を示し、明らかに福田政権を見捨てたからだ。
「福田では選挙に負ける。福田政権を支える理由は何もない。このままではわが党はジリ貧だ」公明党は自党の生き残りに必死だ。
福田政権は参議院を民主党に握られ、いままた公明党に逃げられ、もはやなすすべがなくなってしまった。
「新テロ対策特別措置法が延期できなければ、アメリカとの関係が終わっちゃうじゃないか。公明党はなぜそこを分かってくれない」
「定額減税だと・・・、 財政再建ができなくなりもっと日本が困るのに公明党は選挙目当てでごり押しだ」
「大田のヤツ、農相にしてやったのに、事務所費でこすいまねをするから、民主党からまたねちねち突っつかれるじゃないか」
「もうヤダ首相なんてやってられねー」
自民党幕府の命綱はアメリカとの日米安全保障条約と、成長路線でのばら撒き政治だ。
新テロ対策法案が通過できなければ、日米安全保障条約は実質的に終焉する。それでもオバマが大統領になればブッシュの戦争が終わるから一縷の望みがあるが、マケインが勝てば万事休すだ。
一方経済は原油、農産物、鉱物資源等の高騰で戦後最長の経済成長も終わってしまった。
税収は上がらず、ばら撒くものなんてはるか昔からなくなった。それでも赤字国債を発行してしのいできたが、財務省はこれ以上首を立てに振らない。
「国家が破綻します」
福田首相のつらい1年は終わった。後は麻生幹事長が首相に指名されると、新聞やテレビでは報じている。しかし麻生政権は選挙管理内閣で実質的な政策の立案は何もできないだろう。
今選挙を行なえば、たとえ麻生氏でも小沢民主党に大敗する。衆院も参院も民主党に抑えられ、自民党が下野するのは確実だ。
思えば福田首相は悲劇の宰相だ。自ら「貧乏くじを引いてしまいましたかね」と言っていたがそのとおりになった。
小沢民主党からは日銀総裁の人事で最後までごねられ、「誰と話せば信用できるのですか。かわいそうなくらい苦労しているんですよ」とぼやいていたのを思い出す。
テロ対策特別法、租税特別措置法は再可決で強行突破したが、公明党が協力しなければこんどは再可決もままならない。
再可決ができなければ通るのは予算案だけだ。
万策尽きたとはこのことだ。安倍前首相、福田首相と誰がやってもねじれ国会では有効な政策が打てない。
この後麻生選挙管理内閣のあと、小沢政権が誕生するだろう。しかし小沢氏は壊し屋であっても、政権担当能力はない。西郷隆盛と同じだ。
なにしろ「国連という最も弱小の国際組織に国運を託す」と言うほど政治センスがない。
日本の政治は完全に幕末だ。どこにたどり着くのかはしばらく様子を見ないと分からない。
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