(20.9.12) 風雲急を告げ始めた北朝鮮情勢
北朝鮮の金総書記が脳梗塞あるいは脳卒中で倒れたとの情報が各メディアから一斉に報道されている。
元ネタは朝鮮日報の記者が中国駐在韓国大使関係者から聞いた話として「金総書記が8月22日に倒れ、中国の医師団5名が最近訪朝した」とスクープしたからだ。
北朝鮮、わけても金総書記の健康問題の情報はほとんど中国駐在韓国大使館からの情報であり、それも医師団の派遣という形で伝えられることが多い。
韓国大使館は中国の特定の医師団の動向を常時ウォッチしているのだろう。
この朝鮮日報の記事を読んだ各国の報道機関が9月9日に行なわれた北朝鮮60周年の閲兵式に注目した。
「この閲兵式に異変があれば、金総書記が何らかの事情で出られなくなったのは明らかだ」
確かに閲兵式は異変だらけだった。50周年、55周年の閲兵式は金総書記が出席しミサイル部隊の堂々たる行進があったのに、今回は以下のような状態だった。
① 金総書記が出席しなかった
② ミサイル部隊を中心とする正規軍の行進ではなく、労農隊のような予備軍中心だった
③ 時間が夕刻から始まり、明らかに熱意がなかった
「やはり、金総書記は重病だ」各国メディアは一斉にそう報道し始めた。
状況証拠としては、金総書記が血管系の疾患で倒れてもおかしくない兆候はいくらでもあった。
66歳の金総書記は昔から大酒のみで知られており、腹は太鼓腹のように膨らんでメタボの代表のようだ。
身体の動きは老人のように鈍く、表情が乏しいのも糖尿病の健康不安のせいだと思われていた。
さらに07年にはドイツ医師団による心臓の血管を拡張するステントといわれる手術を受けたとされる(ただしドイツ医師団は否定している)。
状況証拠は明らかに黒であり、金総書記が何らかの病状悪化に瀕していることは間違いなさそうだ。
さて、そうなった場合の北朝鮮情勢の今後はどうなるのだろうか。
北朝鮮は世界でも類まれな独裁国家であり、権力はすべて金総書記に集中している。
かつてのスターリンや毛沢東、ヒットラーと同じだと思えばよい。
今、韓国および在韓米軍が一番危惧していることは、軍部が勝手に動き出すのではないかと言うことだ。
金総書記は独裁者なので、戦争することもしないことも一存で決められた。だから金総書記の動向を追っていれば北朝鮮軍部の動きが把握できたが、金総書記が判断能力を失うと、軍部が勝手に動き出す可能性がある。
たとえばミサイル基地の拡張や発射実験、および核開発の再開等であり、最悪は韓国への軍事侵略である。またクーデタが起こるかもしれない。
今回の軍事パレードへの不参加についても軍部の意向ではないかと見られている。
「石油がほとんどないのにお祭りなんかで、重要な資源を消費できるか」
現状では軍部に際立った動きはなく、当初あった金総書記の重病説も「回復過程にある」との見方が主流を占めている。
しかし脳血管系の病気は再発を繰り返し悪化してゆき、最後は判断能力を失うのが普通だ。
私の父親は脳梗塞を数年おきに繰り返し、最後は痴呆状態になった。
だから今回は回復したとしても近い将来、金総書記に重大な異変が起こることはまず確実と思ってまちがいない。
北朝鮮情勢は風雲急を告げだしたのだ。
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