« (20.8.29) 宴の後の中国経済 | トップページ | (20.8.31) 初めての南アルプス NO3 »

(20.8.30) 逆説の日本史 15

 今日(29日)は登山をする予定だったが、ひどい雨になってしまった。東海から東北にかけて大雨洪水警報が出されていて、いたるところで河川が氾濫している。

 こういうときに登山すると登山道が川になっており、身体中が水泳をしたのと同じ状態になってしまう。しばらく前までは台風が来ても登山をしていたが、さすがに62歳になるとそこまでは元気がない。
それに私は定年退職者で時間は自由なのだから、とりあえず天候が治まるのを待つことにした。

 しかしそうなると時間があまって仕方がない。なにしろ登山をするためにこの日は登山以外何も予定を入れていないので、本でも読んで時間つぶしをするほかに手はない。

 幸いに井沢元彦氏の「逆説の日本史」15巻(官僚政治と吉宗の謎)が手元にあるのでそれを読むことにした。
私は「逆説の日本史」の愛読者だが、この本によって始めて日本の歴史を知ったといっていいほどの衝撃的な本だ。

 なにしろそれまでの日本の歴史書はひどかった。始めて日本史を勉強したのは高校生の時だったが、教師は左翼教師で共産党のシンパだった。
今から45年も前になるが、当時は左翼でなければ道徳的に欠陥があり堕落した教師と見られており、この日本史の教師は生徒の間で抜群の人気があった。

 その授業は高校では珍しいゼミ形式で、生徒が授業を主体的に行なうのだが、私はこの日本史が全く理解できずしばしばうたた寝をした。
するとこの教師はすかさず私を立たせて「今話されている問題点をいいなさい」なんて寝ていた人には金輪際わからない設問をして、不肖の生徒を絞り上げたものだ。
おかげで誰もうたた寝ができなくなってしまった。

 この方法は左翼教師特有の「血祭り方式」と言うもので、その後大学においても著名な左翼教授が同じ手法を用いていた。

 当時この高校で用いられていた教科書はやはり左翼系の教師が書いた教科書で「この教科書は実によくできた教科書です」とこの日本史の教師は言っていたが、私には何が良くできているのかさっぱり分からなかった。

 今思えば分からないのが当たり前で、唯物史観という史観を正当化するために事実を歪曲して教えていたのだから、唯物史観の信者にならない限りさっぱり理解できない代物だ。

 この経験から私は日本史は実にくだらない学問で、二度と学ぶに値しないと長い間思っていたのである。
だから井沢元彦氏の「逆説の日本史」を始めて読んだ時は衝撃的だった。
日本史とはこれほど魅力的な学問なのか」感激した。

井沢元彦氏は言っている。
日本の歴史書には3大欠陥があり、一つは資料絶対主義であり、もう一つは宗教的知識の欠如、最後が権威主義だ
当初はその意味がわからなかったが、読み進むうちにその意味を理解できた。

 今回の「官僚政治と吉宗の謎」も良くできた歴史書だ。私は江戸時代は白土三平が描くカムイ伝の世界で、農民一揆ばかりが起こる実に凄惨な時代だと思っていたが、なぜ農民一揆が起こるのかの理由を始めて知った。

 江戸時代が米本位制の時代で、武士の給与が米で与えられていたことは知っていたが、実態経済が貨幣経済になっていたため、米が増産されると価格が下がってしまい、農民と武士が困窮してしまう基本構造があったと言うのである。

 このため吉宗米増産政策は結果的に農村を疲弊させ、かつては天領ではほとんど発生しなかった農民一揆が頻発するようになったという。。
米本位制の考え方からは「米増産は農民と武士を豊かにするはず」だが、実際は貨幣経済なので豊作貧乏になってしまうという訳だ。
そして飢饉のときを除いて米は基本的に余っていたというのも驚きだ。
現在の農政と同じじゃないか

 その後の松平定信水野忠邦の改革も米の増産政策だった為、ますます農民と武士の首を絞めることになったのだという。
よかれと改革をすればするほど農民一揆が増えるのか納得した。


 山に登る予定が延期されて思わぬ知識を得ることができたのは幸いだ。

 

 

|

« (20.8.29) 宴の後の中国経済 | トップページ | (20.8.31) 初めての南アルプス NO3 »

評論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (20.8.29) 宴の後の中国経済 | トップページ | (20.8.31) 初めての南アルプス NO3 »