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(20.8.29) 宴の後の中国経済

 北京オリンピックが終わった。さて宴の後の中国経はどうなるのだろうか。
中国はこのオリンピックのために競技場関連の建設に約4兆円運営費約2兆円合計約6兆円の費用をかけた。これがいわば直接経費でこの額は他のオリンピックとさほど変わらない。

 違うのは道路や地下鉄建設等の間接経費で、約40兆円の巨費を投じている。アテネでは約12兆円シドニーでは約10兆円の規模だったからインフラ整備に従来のオリンピック開催国に比較し3倍~4倍の巨費をかけたことになる。

 このような巨費を投ずる理由として、オリンピックの経済効果が云々され、相応の経済効果があると説明される。
しかしこれは全くのでっちあげで、オリンピックを招致したいための国内向けアナウンスメントに過ぎない。
少なくとも直接経費については経済効果は全くない。

 これは少し考えてみれば分かるので、世界各地から1万人以上のアスリートを集めて開催したオリンピック競技場が、その後まともに使用されると考えるほうがおかしい。
競技が終わればどこの競技場も閑古鳥が鳴いてしまい、今度は競技場の維持管理に四苦八苦する。
維持管理費は意外とかかるもので投入した費用の2~3割程度の金額が毎年必要になる。

 そうした事例はいたるところにあり、ワールドカップ開催後のサッカー場や、長野オリンピック開催後のエムウェーブの維持に地方自治体は悲鳴をあげている。

 だからオリンピックそのものは壮大なお祭りであり、楽しければ良しとしなければならない無駄使いだと思えばよい。
祭りに金のことを言うのは野暮よ」江戸っ子の台詞だ。

 祭りが終わればしばらく茶漬けだけで暮らさなければならないのは、個人も国家も同じだ。
あの時は楽しかった」それだけのことなのだ。

 問題は6兆円の直接経費は全くの無駄金として、約40兆円にのぼる間接経費が中国経済の役にたつかだ。
日本では東京オリンピックにあわせて作った首都高速道路新幹線がその後の日本経済を支えたのは確かだ。

 中国もオリンピックに合わせて、空港・高速道路・地下鉄・新幹線等を整備した。中国が当時の日本と同じであれば経済効果抜群だが、明らかに経済環境は逆風だ。
アメリカ経済の減速は確実で、輸出に頼ってきた中国経済も成長率が落ちてきている。
中国政府は輸出の減少分を国内消費の拡大で補うつもりだが、お金があるのは政府と一部富裕層だけで、多くの中国人は貧乏人だ。

 だから90年代の日本と同じで、政府は公共投資を拡大して需要の創出を図ろうとしているが、四川大地震の復興特需も上海万博も一時的なカンフル剤以上の効果はないだろう。
不動産価格は、これも日本と同じで下がり続けるのは確実だ。

 インフレは激しく賃金は高騰して、もはや労働集約的な繊維や雑貨は中国から撤退している。
就職場所は狭められ、失業者は増大している。
何より香港や上海の株価指数がピーク時の半分以下になってしまった。

 先を見ることに鋭敏な投資家は中国経済はピークアウトしたと見て資金を引き上げている。
中国の時代は終わった」投資家のセンスだ。

 だからオリンピックのために無理して作ったインフラもその効果を十分挙げることは難しそうだ。
中国経済はオリンピックで浮かれていたが、宴が終わればこれから長い停滞局面に入るのはいたし方がない。

(22.4.18追加)この分析は完全に間違ってしまった。中国政府の行った財政・金融政策はかつての日本の高度成長時代のようによく効いて、世界経済の中で一人勝ちの様相を呈している。
現在不動産価格はバブルと言ってよく、また株式も持ち直した。

現在の中国経済の分析で最も大事なことは、この状態が日本のバブル崩壊と同じようになるのか、それともまだ成長局面なのでバブルを吸収してさらに躍進するのかの判断にかかっている。
現状ではまだしばらくは成長が続きそうだと見るほうが妥当な判断のようだ。

 

 

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