(20.8.12) 原油価格はピークアウトしたけれど
複雑な気持ちだ。6月30日のブログで「原油価格の高騰はピークアウトしそうだ」(リンクが張ってあります)と言う記事を書き、予想はばっちり当った。
当時1バーレル147ドルまで高騰した先物価格が、現在は120ドルを下回っており、さらに低下しそうになっている。
しかし低下の原因は私が予想したプロセスとは全く違う。6月30日のブログで「世の中は悲観論一色だが、こと原油価格の高騰はドル表示ではますます高騰するものの、日本や西欧の実質価格ではピークアウトしそうだ。
今後はドル安が傾向的に進むと思われるからだ」と記載したのである。
実態はドル安は進まず、アメリカを中心とする世界経済の後退により石油に対する需要が冷え切ってきたため、必然的に原油価格が低下した。
「アメリカも日本も中国もインドも、経済が失速し石油をこれ以上使用する理由がないじゃないか」誰もがそう思ったわけだ。
石油に向かっていた投機資金がドルに回帰しはじめた。
「うぅーん、経済予測は実に難しい」反省した。
私がドル安を予測したのは、本音を言えば「そうなってほしい」と思っていたからだ。別に為替の投機を行なっているからではない。
日本経済がアメリカ経済から自立した経済になってほしいと思っているからだ。
そのためには0.5%と超低金利の政策金利をアメリカと協調せずに利上げする必要がある。また1兆ドルを上回っている外貨準備からアメリカ国債を減らしてユーロ建て債権を増やさなければならない。
アメリカが最も嫌がることが、日本の利益になる。
しかし「そうなってほしい」ということと「そうなる」ことはまったく別だ。
日本政府はアメリカに遠慮して、信じられないことに政策金利を下げることまで検討し始めた。
おかげで市場から円はそっぽを向かれて円安局面に入ってしまった。
3月末に97円まで円高になったのに、今は110円の円安だ。
せっかく原油価格が下がっても円安では何にもならない。これではガソリン価格も低下しないだろう。
「日本は何時までアメリカの経済的植民地として甘んずるのだろうか」
歯軋りする思いだが、政府も日銀もアメリカの嫌がることは金輪際する気はないらしい。
「日本国民が物価騰貴に悩んでも、アメリカから見捨てられるよりはましだ」政府と日銀の本音だ。
福田政権はサブプライム問題で黄昏を迎えたアメリカ経済と運命を共にする気らしい。
「亀ゴン、原油価格のピークアウトは当てたが、その原因は全く的が外れてしまった。円高局面にならず、かえって円安が進んでいる」
「先生の経済評論も今一ということですね。しかし先生、がっくりすることはないですよ。大切なことは『ともかく一度結論をだしてみる』ことです。
『不完全でも自分なりの答えを出しておけば、後で自分の考えをチェックできる』と京都大学大学院教授の中西輝政氏も言っています」
「そうだね。今回の仮説の失敗は、『そうなってほしいこと』と『そうあること』を混同したためだ。次回からはもっと冷静に判断するよ」
「先生は素人評論家ですが、そうした努力を積み上げていけば、きっと予測の精度が上がると思います。不肖亀ゴンも先生に協力します」
「ははは、ありがとう」
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