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(20.7.23) アメリカの金融危機は底なしだ

 しばらく前までアメリカの金融当局者はまだ楽観的だった。
日本の金融危機とアメリカの金融危機の最大の相違は、日本が損失処理を10年もかけて実施したのに比べ、アメリカは時価会計で即処理をしている。したがって金融危機は長期化しない

 確かにシティーグループメリルリンチも四半期ごとに損失額を時価会計で公表しているが、それは発見が早いだけで損失が減少する訳ではない。
報告するたびに損失額は増大し、サブプライム関連の損失額はシティーグループ5兆円メリルリンチ4兆円を越えてしまった。大手8社では16兆円を越えている。
いったい、何時になったら出血が止まるのだ」経営者は真っ青だ。

 かつてはサブプライムローンを組成した証券はいくらでも売れたが、今は全く買い手がない。買い手のないサブプライムローンは、持っていると住宅市場の悪化の影響でますます減価してくる。
ババ抜きのババを何時までも持っているようなものだ。
どうにかしてほしい」金融機関が悲鳴をあげ始めた。

 仕方なくアメリカ政府は政府系住宅金融会社2社に買い取り枠を拡大させ、ぼろ屑の住宅債権を金融機関から購入させることにした。
仕方ない、それでは住宅公社が肩代わりしよう

 当初はこれでうまくいきそうに見えた。一時期アメリカの金融危機が峠を越したと言われたのはこのためである。

 しかし予想に反し金融機関の不良債権はその後も拡大の一途をたどり、どんなに政府系住宅金融会社が不良債権を購入しても追いつかない状況になってしまった。
元々は実体経済の住宅販売が低迷しているのだから、これでは単に不良債権の付け替えをしただけに過ぎない。

 そしてとうとう政府系住宅金融会社2社の債権額は550兆円を超えてしまった。これはアメリカで組成された住宅ローン関連の証券化商品の5割に当たり、日本の国内総生産とほぼ同じ額だ。

 大げさに言えば、政府系住宅金融会社2社が、アメリカ全土の半分の不良債権を抱え込んだということだ

 おかげで「ぼろ屑を550兆円ためた、政府系金融機関はあぶない」と噂が流れ、株価が急落してしまった。
この2社は債券を発行し、その金で住宅債権を購入して証券化して販売していたが、全く売れないのだからすべて手持ちになるのは仕方がない

どうにかしてくれ」今度は政府系住宅金融会社が悲鳴をあげた。
ついにポールソン財務次官がこの2社に対して「公的資金の導入をしても救済する」と言明して騒ぎを鎮めなくてはならなくなってしまった。

 なんてことはない、不良債権の付け替えゲーム住宅専門会社→金融機関政府系住宅金融会社と付け替えをして、最後は政府の責任になった。

 時価会計だと威張っていたが、アメリカも結局公的資金を導入して救済する道しか残されていなかったことになる
問題はその金額だ。日本では約100兆円の資金を導入して収束を図った。

 さて、アメリカが必要とする公的資金の金額はどの程度になるだろうか。
すべての住宅債権が不良化すれば550兆円だが、さすがにすべてが不良債権化することはない。
日本の経験では不良債権は当初半分程度と思われていたが、最終的には7割程度まで拡大した。

 半分としたら275兆円、7割だったら385兆円だ。
アメリカの経済規模は約日本の2倍だから、金融危機のレベルが日本と同じならば約200兆円が資金投入額になるはずだ。

 しかしアメリカ政府が投入しなければならなくなると思われる資金の金額は200兆円をはるかに越えそうなのだから、日本の金融危機よりも深く厳しい

 1980年代は日本が世界を席巻し、1990年以降はアメリカの時代だったが今アメリカの時代が終わろうとしている。
米大手金融 損失底なし」と新聞は報道しているが、歴史は繰り返された。

 マルクスは言っている「歴史は2度繰り返す。最初は悲劇として、そして2度目は喜劇として

 

 

 

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