(20.7.18) 逆井(さかさい)の鐘が快調だ
「大人の絵本」作家、花牟礼祐一さんの「逆井(さかさい)の鐘」が快調に仕上がりつつある。全5章、100枚の水彩画からなるこの物語も、現在第3章、64枚の水彩画が上梓された。
逆井城は利根川と江戸川が分岐する関宿の近くにあった城で、中世から戦国にかけて関東の覇権を左右するほど重要な戦略的拠点でも有った。
この地をめぐって新興勢力の北条氏と旧勢力の古河公方(こがくぼう)がつばぜり合いをしていた。北条氏は戦国大名の雄であり、一方古河公方は室町幕府の関東における将軍である。
逆井城主逆井常繁は古河公方方の武将で、北条氏に攻められ落城するのだが、その歴史的事実をモチーフに花牟礼さんは戦国絵巻を「大人の絵本」として私たちに見せてくれる。
水彩画はほとんどが戦闘場面だが、黒澤明監督の「影武者」のシーンのように一枚一枚が躍動感があり興味深い。
花牟礼さんの水彩画が単なる絵コンテでないのは、すべての水彩画によく推敲されたストーリーがあるからで、花牟礼さんはこれを「電子紙芝居」と言っている。
こうしたジャンルは他にほとんどなく、まったく花牟礼さんのオリジナルといってよい。
実際この時代を映像で分からしてもらえるのは実に貴重な体験だ。特に戦国前期の城郭の構造についてはほとんどの人が知らない。
私たちがイメージするのは織田信長が安土に築いた安土城以降の近代的城郭であり、それ以前の城のイメージを持っていない。
花牟礼さんの「逆井の鐘」を見ると戦国前期の城が城郭と言うより砦に近いものだったことが分かる。
「当時の城とはこんな形をしていたんだ」感心してみてしまった。
また、この物語を読んで、当時ここには南北30km、東西1kmの飯沼と言う沼があり、逆井城がそのほとりにあったことを知った。
この沼は江戸時代に干拓されて今は農地になっているのだが、この地に霞ヶ浦のような大きな沼があったとは全く知らなかった。
利根川の流域には利根川の水路の変更に伴う、多くの湖沼があったことになる。
私はよくマラソンの練習で江戸川を遡り、関宿から利根川を下っていたが、かつてここで関東の覇権をめぐる壮絶な闘いがあったことを、花牟礼さんの「逆井の鐘」を見て始めて知った。
そうした意味で花牟礼さんの「逆井の鐘」は私たちがほとんど知らない北関東の歴史を美しい映像で教えてくれる。
余りに映像が美しいので、外国人、特にアメリカの映画監督が見たら、あのラストサムライのイメージでハリウッドで撮影したくなるのではなかろうか。
花牟礼さんのホームページは以下のURLをクリックすると見ることが出来ます(クリックして拡大してみてください)。
http://8760.y.mepage.jp/ss-sk-nav.html
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コメント
山崎様 どうもこんばんは
「逆井の鐘」都度ご紹介いただき恐縮です。山崎様はじめ、激励頂く皆様のおかげで、半分超えて後半にさしかかる事ができました。
現在は合戦シーンが続いているのですが、時代劇の現場で言う「斬られ役の演技力が躍動感の画面を生む」というのを、描きながらでも感じます。引き続き「映画監督」気分を楽しみながら描いていきたいと思います。
よくよく拝見すると「パソコン教育でくたくただ」に続き「電子紙しばい」ネタになりましたね~ご健壮ますますお祈りします。
投稿 花牟礼 | 2008年7月18日 (金) 21時04分