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(20.6.9) スピード社の水着はなぜ速い

おゆみ野四季の道」のテーマソング。以下のファイルをダウンロードすると曲が始まります。
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 びっくりしてしまった。6日から行なわれた水泳のジャパンオープンで、初日に5つ日本新記録が出たが、その後も次々と日本新記録が出、ついに世界新記録まで出てしまった。
いづれもイギリス・スピード社レーザーレーサー(LZR)を使用している。

 特に日本のエース北島康介選手は、このレーザーレーサーを使用して、初日に100m平泳ぎで59秒44日本新記録を出したが、さらに最終日には200m平泳ぎで2分7秒51世界新記録まで出してしまった。
これでレーザーレーサーの水着の威力は日本中の水泳ファンの目に焼き付いた。

 日本水泳連盟レーザーレーサーの使用を認めることはほぼ確実で、ようやく日本水泳界も北京オリンピックで戦える体制が整ってきたと言える。

 この水着が発表された本年2月以降、樹立された個人種目の世界新記録18個のうち17個レーザーレーサーを使用している選手によって出されている。
レーザーレーサーを着れば必ず記録が出る」世界に衝撃が走った。

 私は当初この水着はいんちきではないかと疑った。
きっと浮力を増すような縫製が施されているに違いない
浮力を増すことは国際水泳連盟の規約違反である。しかし調査の結果、規約違反は存在しなかった

 この水着でなぜ記録が出るかと言うと、信じられないような発想の転換があったからだ。
水着で身体をスリムしろ
確かに、身体がスリムなほうが水の抵抗は少ない。特にヨーロッパの選手は日本の選手に比べて筋肉が発達し、ゴツゴツしている。
このゴツゴツした身体を水着でしぼってマグロかつおのような流線型の身体にしてしまえば水の抵抗は少なくなる。

人間の身体をマグロにすれば速くなるはずだ」たしかにそおだろう。

 しかし、従来はそおすることに抵抗があった。
流線型の身体は抵抗が少ない。しかし身体をギューギューに締め付ければ身体が動かない。水泳ができないじゃないか
日本選手はみんなそお思っていた。

 日本のメーカー3社(ミズノ、デサント、アシックス)が締め付け水着を開発せず、もっぱら水の抵抗の少ない素材にこだわってきたのは、こおした経緯があったからである。

 しかし「締め付けても、身体が相応に動かせれば問題なかろう
スピード社が3年に渡って開発した水着は、薄く、軽く、縫い目がなく、発水性にすぐれた水着だった。

 実は締め付けるタイツが、一種の筋肉の替わりになって、身体を保護することは良く知られていた。ワコールが開発したマラソンタイツCWXがそれである。
しかも履いてみるとそれほどからだの動きが制約されない。
現在はウルトラランナーの必需品にまでなっている。

 CWXからレーザーレーサーまでもうほんの一歩だったが、日本のメーカーが躊躇している間に、スピード社に先を越されてしまった。

流線型の身体になり、水の抵抗が少なくなるプラスと、締め付けることによって身体が動かなくなるマイナスを計算し、合計でプラスになれば記録の更新が可能な水着ができる
そおスピード社は考えたわけだ。すばらしい発想の転換だ。

 世界のスイマーが小躍りしてレーザーレーサーを使用するようになったのは言うまでもない。
だが、日本水連日本メーカー3社スポンサー契約をしており、スピード社の水着の使用を許可していない。
しかし、レーザーレーサーを着なければ北京オリンピックに勝てない。

 そこで日本水連4月日本選手権の後、日本メーカー3社に試験を課した。
レーザーレーサーに負けない水着を作れ
しかし、この試みは完全に失敗したようだ。今回のジャパンオープンで日本製の改良水着を着て日本新記録を出した選手はたった一人だけだった(17の新記録のうち16をスピード社製の水着を着ていた選手が出した)。

 スピード社レーザーレーサー3年に渡って開発してきたと言う。日本メーカー2ヶ月程度でこのレベルに追いつけと言うのが土台無理かも知れない。
ちょっとした発想の転換でこんなにも差がついてしまうのだ。

 結局日本選手のほとんどが北京オリンピックレーザーレーサーを着ることになるだろう。日本メーカー3社にとってきつい北京オリンピックになってしまった。

 

 

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