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(20.6.4) 中国・農民工たちの冬(NHK)を見て

おゆみ野四季の道」のテーマソング。以下のファイルをダウンロードすると曲が始まります。
 「pianotokurarinetto.mid」をダウンロード



 最近見たドキュメンタリー番組で、これほど悲しく心を打つ番組はない。中国内モンゴル自治区から、急発展をとげている天津に出稼ぎに来ている2家族に密着したドキュメンタリーである。

 中国には二種類の人種が住んでいて、都市住民農村住民に別れる。日本人には信じられないが、互いに戸籍が異なり、基本的には農村住民は都市の住民になれない。ただ短期間に出稼ぎに来れるだけである。

 日本でも高度成長期には農村から都市に大量の出稼ぎ労働者が働きに来たが、同じ日本人であることにかわりがなかった。しかし中国では違う。
あいつらは、農民工だ。俺達とは違う人種なのだ都市住民の意識である。

 農民工はいわゆるゲットーを作って生活している。家賃は月900円程度で極度に安いが、それすらもまともに払えない。水道と電気以外は整備されていない最低限の狭い住居だ。
かみさんはその場面を見て「私は中国人に生まれなくてよかった」と言っていた。

 そして農民工は少ない仕事を取り合っている。あまりに農民工が多い(中国全土で約2億人と言われている)ので仕事にあぶれ、賃金は徹底的にたたかれるのだ。
お前ら賃金に文句を言える立場か」斡旋業者の言葉である。

 私はこの番組をNHKの再放送で、しかも途中から見たのだが、竹で作ったゴザを数枚、肩に担いで延々と歩いていく人々の映像が現れた時は、何をしているのか分からなかった。
これは天津港の埋め立てのための竹ゴザで、これを砂浜にひきつめそのうえに土砂をかぶせて港にするのだと言う。

 一枚で45円(記憶が定かでない)の竹ゴザをできるだけ多く背負って、約2.5kmの足場の悪い道を人力で運んでいる。重さはどお見ても60kg程度はある。
俺は農民工を100人使っている」現場監督と見られる人が自慢げに話していたが、竹ゴザを背負って黙々と歩いている人々の映像はナチスに強制労働をさせられているユダヤ人にそっくりだ。

これは昔、歴史の教科書で読んだクーリーじゃないか

 このゴザを背負っていた主人公は杜文海と言う人だが、私と同年輩で海風にさらされて風邪をひいているようだった。
医者にはかかれない。働けば風邪は治るだろう」一日労働すると1000円程度にはなるようだが、実際は月に1週間程度しか仕事がないらしかった。
農民工にとって一番つらいのは病気になることだ。そうなると故郷に帰らなければならないが、故郷には何もない

 杜文海さんには息子がいて一緒に出稼ぎに来ているが、息子はパワーシャベルで石炭をトラックに運び上げる作業をおこなっていた。
1すくい3円24時間労働を強いられていた。
休むと他の人に仕事をとられるので、旧正月にも故郷には帰れないと言う。
眠くて、パワーシャベルの中で寝てしまう」事故が起こらないのが不思議なくらいだ。

 こうまでして二人が重労働をしているのは、杜文海さんの高校生の娘を大学にやるための学費をかせいでいるからだ。しかしその学費も期待したほどたまらない。
俺達貧乏人がこの貧困から抜け出せる唯一の方法は、大学を出てよい仕事に就くことだけだ。だから俺は娘のための学費を稼ぐためだけに生きている。俺の人生はただ働くことだけに終わる

 一方高校生のこの娘が、学校で「将来の希望(正確な記憶ではない)」という作文を朗読している映像があった。
私は一生懸命勉強して、よい大学に入りよい職場に勤めたいです。それは私を大学に入れるために懸命に働いてくれるお父さんやお母さんに少しでも恩返しをしたいからです」読みながら少女は泣き崩れ、周りの少女達も泣いていた。

こんなけなげに生きている人たちがいるんだ」私は胸が熱くなり、涙がこぼれて止まなかった。

 杜文海さんの労働の厳しさには驚いたが、さらに悲しかったのは張健平さん夫婦の映像である。この夫婦は故郷に工場で片腕を複雑骨折した小学生がいる(なぜ工場なのだろう)。
この小学生の手術代が20万円程度(もう少し多かったかもしれないかかり、そのための手術代をかせぐために農民工になった。
故郷には年老いた老夫婦と小学生が暮らしている。

 しかし天津には農民工が多すぎて、おいそれと仕事が見つからない。特に夫の張健平さんの仕事がない。そのために毎日夫婦喧嘩がたえない。
ここは仕事がない。俺は炭鉱夫になる。落盤で死ねば保証金がでる。それで息子の手術代がでるからその方がいいだろう」喧嘩の後の張健平さんの捨て台詞だ。

 奥さんは勤めているものの、斡旋者は賃金を払ってくれない。中国では賃金の未払いは日常的に起こる。斡旋業者がネコババするからだ。
そのため旧正月で内モンゴルに帰郷するお土産にも事欠く有様だ。1500円のおもちゃを買うことができなくて60円の金魚が年に一度帰る息子へのお土産だ。

 故郷では老夫婦が約20頭の羊の放牧をしているが、牧草地は荒れはて、すべて売却しても3万円程度で、子供の手術代にははるかに及ばない。
老婆が高血圧で倒れ目が見えなくなって、村の医者は町の病院の検査をすすめている。張健平さんも「お金を借りて病院に連れて行く」というが老婆は強く拒否する。
私のことはいい。この子の骨折の手術に大金がいるのに、無駄なお金を使うことはない
中国の農村では老人は大事にされる。しかしどうしようもない。
張健平さんは泣いていたが、私もほとんど嗚咽しそうになった。

 子供の片腕はぶらぶらしていて、時間がたてばたつほど手術は難しそうだ。しかしこの夫婦はいくら働いても手術代を稼ぐことは難しそうだった。しかしその子は自分の将来を理解していない。
手術は痛いからやだよ」折れ曲がった腕をぶらぶらさせながら言っていった。

こんな世界があったんだ」信じられないような貧困だ。

 私はながらく中国の高圧的な態度に腹を立ててきた。尖閣諸島の石油採掘や日本大使館に対する理由なき破壊行為や、毒入り餃子事件など、目に余ったからだ。
しかし最近の中国は変わってきたと思っている。
胡錦濤主席の訪日の態度や、四川大地震の中国側の受入対応も世界の一員としての中国という側面が強く出ている。

 そして、このドキュメンタリーをみてこの感をいっそう強くした。こおしたドキュメンタリーは中国の恥になるため、今までは決して映像に収めることができなかった。中国は面子の国だ。
だから「シルクロードシリーズ」を見れば分かるとおり、許可される映像は「中国4000年の歴史」にふさわしいものだけだった。

 今回初めて中国は自身の実態を正直に映像に収めることを許した。約2億人の貧農がいることを画面は伝えている。そおした意味でこの「中国・農民工たちの冬」は歴史的な映像だ。
誰でもそうだが、互いに実情が分かれば信頼感が増す。
イデオロギーをまとった高圧的な態度ではなく等身大の中国だ。

 このドキュメンタリーはまた再放送されるだろう。まだ見ていない方は是非見られることを勧める。中国に対する見方が変わるほど価値ある映像だ。


お願い
このドキュメンタリーを見られた方がありましたら、その感想を教えてください。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

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