(20.6.30) 原油価格の高騰はピークアウトしそうだ
原油価格の高騰がとまらない。年初1バーレル100ドルだった原油価格はあれよあれよと言う間に高騰し140ドルを突破してしまった。
昨年の年初は60ドルなのだから、その時からは2.3倍だ。
昨年の今頃「100ドルを越えたら世界経済に甚大な影響が出る」といっていたが、今では懐かしいぐらいだ。
アナリストの分析では本年度末までに200ドルまで上昇するという。
おかげでガソリン価格は180円台になりそうだし、飛行機に乗ればサーチャージと言う付加運賃がべらぼうな高さだ。中小零細業界の多いトラック業界は軽油の高騰でここ1年で1370社が廃業したと言う。
世の中は悲観論一色だが、こと原油価格の高騰はドル表示ではますます高騰するものの、日本や西欧の実質価格ではピークアウトしそうだ。
今後はドル安が傾向的に進むと思われるからだ。
最近アメリカが「強いドルがアメリカにとって利益になる」と口をそろえて言い出したが、実際はなんら手が打てないことが判明してきた。
こうした場合の常套手段は政策金利を上げて、財政支出を抑制することだが、政策金利を2%に据え置いたのがやっとの措置だ。
一方欧州中央銀行が7月に政策金利を上げることを表明したため、資金はユーロに流れている。
「レートの高い通貨に投資しろ」
これで日本が政策金利を上げれば流れは一気に決定するが、日本政府はアメリカに遠慮して利上げを控えている。
しかし、市場は日本もいづれは利上げをすると読んでいるようだ。
なにしろここ数ヶ月の価格の上昇で日本経済はひどいインフレ懸念が高まってしまった。消費者物価指数は2%以下で、まだまだ余裕がありそうだが、生活実感とは異なる。
私の大好きなぶどう入り食パンが、ジャスコで一袋180円~190円だったのが、一気に228円になったのには驚いた。
「もう、山崎製パンのぶどう入り食パンは食べない」
ぶどうが入っていない食パンにブルーベリージャムをつけて食べている。これだと1袋160円前後だ。
マックも食べなくなった。私は帝京市原接骨院の治療を受けた帰りには近くのマックの店で600円前後のセットメニューを食べるのが楽しみだったのだがこれもやめた。
センドーで焼きそばとジュースとお菓子を買って、窓際のテーブルで食事をしている。これだと450円ぐらいだ。
消費者が明らかに生活防衛に入り始めたことは重要だ。私の事例でもって消費者一般の動向を推察するのはやや乱暴だが、反対に無視するのも問題だ。
「どうやら山崎さんのように貧しい家庭では消費を切り詰めだしたようだ」と認識しなければならない。
インフレ圧力が強くなると消費が低迷して企業活動が落ち込む。アメリカも西欧も日本も景気が悪化してきた。
日本は戦後最長といわれた景気拡大が終わり、アメリカは金融機関の損失がサブプライムローン関連以外の、従来優良と言われてきた債権に波及し始めた。シティグループもメリルリンチも4-6四半期にさらに多額の損失を計上しそうだ。
世界各国の株価は低下の一途をたどって入る。元気だった中国もインドも青息吐息だ。
市場は物価は上がり、一方景気が後退するスタグフレーションの再来を危惧し始めた。
状況は逼迫し始めたので、日本政府もアメリカの都合ばかり考えてインフレを放置するわけにはいかないだろう。いずれは利上げに踏み切りそうだ。
また、アメリカからの国債購入圧力に対しても静かなサボタージュを始めるだろう。
「アメリカの時代は終わったな。このままアメリカに付き合うと日本は共倒れだ」口に出さないまでも本音ではそお思っている。
すでに西欧はアメリカを見放し、日本もアメリカを見放せばアメリカの一人負けの様相が明らかになる。
ドルはますます弱まり、アメリカの国内物価の上昇は止まることはないだろう。
産油国は相変わらずホクホクだが、減価の止まらないドル紙幣を何時まで持っていていいか頭を悩ますはずだ。
「これじゃ、紙くずを集めているようなものだ」
日本はアメリカと距離を置くことで、円高局面に入り物価上昇の圧力から徐々に解放される。そうなると原油価格の高騰も食糧価格の高騰もドル表示でのイリュージョンになる。
しかし日本政府は逡巡している。
「アメリカと手を切って、円高にしたらアメリカが激怒するだろう」
今はハムレットのようだが、いずれは政策金利を上げてインフレ退治をすると私は思っている。
日本が単独利上げを時がアメリカの世紀の終わりだ。
それまではジャスコのトップバリュと特売日と10円引きを支えに、生活していくことにしよう。
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