(20.4.26)日本柔道危うし
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北京オリンピックの日本柔道はかなり危うい状態になっている。
なにしろ26日,27日に韓国で開幕される柔道アジア選手権を前にして、いまだ男子7階級のうち5階級、女子7階級のうち1階級で出場枠が取れていないのだ。
前代未聞の椿事といってよい。今まではオリンピックでメダルをいくつ取れるかとだけ心配していたのに、今回は出場できるか否かを心配しなくてはならなくなっている。
アテネオリンピックで男子3個、女子5個の金メダルを取り、「さすが柔道日本だ」と言わしめたあの勢いはどこに行ってしまったのだろう。
出場枠確保のためには、① 今回の柔道アジア選手権で優勝するか、② 同選手権終了時点でアジア連盟が指定した大会の順位に応じて与えられるポイント合計の上位5カ国に入ることが必要だ。
優勝すれば文句なし。負けてもポイントが各階級で上から5カ国までならOKだが、信じられないことに男子90キロ級と、男子81キロ級では上位5カ国に入れない可能性があるのだという。
日本がこんなに出場枠で悩むのは、昨年9月に行なわれたリオデジャネイロ世界選手権で大苦戦してしまったからだ。
ここで5位以内に入れば北京オリンピックにいけたのだが、何しろ金メダル確実と思われた井上康生や鈴木桂治といった日本のエースが次々と初日の予選で敗退し、大会3日目まで男子でメダルは銅1個という惨状になってしまった。
おそらく首脳陣は頭が真っ白になってしまったろう。どの階級でも5位以内は当たり前で、どれだけ金メダルが取れるか胸算用してたのに予選すら勝ち抜けない。
最終日(4日目)にようやく無差別級の棟田康幸が一矢を報いて金を取ったものの、北京オリンピックの出場枠はたった2つしか取れなかった。
女子は48kg級の谷亮子と無差別級の塚田真希が金メダルを取ったが、アテネオリンピックの勢いからはこれも程遠かった。
どうしてこんなに日本柔道は弱くなってしまったのだろうか。
日本柔道は一本勝ちの美しい柔道をするが、弱点はかけ技が弱いと返されてしまうことにある。いわば返しワザに弱いのだ。
今回の世界選手権では日本対策として返しワザの研究を各国が行なってきていた。
予選で敗退した男性陣はことごとく返しワザで敗れている。
「大変だ、ワザをかけられない」井上と鈴木の敗退を見てみんなビビッてしまいさらに悪循環に陥った。
さて、今回の柔道アジア選手権では巻き返しはあるだろうか。男子90キロ級(泉浩)と、男子81キロ級(小野卓志)は何しろ優勝しなければ出場枠を逃しそうなので、泉と小野には是非優勝してもらいたいのだが、こんな心配をすること自体が柔道日本のたそがれを感じさせる。
4月始めに行なわれた柔道の最終選考会で、女子五輪代表者はほとんどが優勝者でなく物議をかもしたが、本当は日本柔道そのものが弱くなっていることの方が問題なのだ。
日本柔道の返しワザ対策はうまくいってるのだろうか。もしこの柔道アジア選手権で泉や小野が優勝できなければ北京オリンピックの帰趨はほぼ決したも同然だ。
私としては何とか踏ん張ってもらいたいのだが、現状では北京オリンピックもせいぜい金3つの世界選手権レベルと思っていたほうがよさそうだ。
(注) 北京オリンピックの出場資格は、世界枠と地域枠があり、世界枠は直前の世界選手権で5位以内入賞の国に与えられる。
この世界枠が得られなかった国は地域枠(アジア枠)からでることになるが、これは直前のアジア選手権で優勝した国と、ポイントが上から5カ国までに与えられる。
信じられないことに、日本は男子90キロ級と男子81キロ級で十分なポイントを得ていない。
(20.4.29追加)
柔道アジア選手権で日本柔道はすべての種目で北京オリンピックに出場がきまった。男子の出場枠未定だった5階級のうち、2階級で優勝した。3種目で優勝を逃しているが、アジアで勝てなければ世界では勝てないだろう。
女子は出場枠未定だった1階級で優勝している。
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