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(20.4.7)財務省敗れたり

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 日銀総裁人事財務省はついに敗北した。日銀出身の白川方明(まさあき)副総裁を、日銀総裁に昇格させる人事案を政府が決めたからだ。
これで財務省は3代続いて、日銀総裁のポストを逃したことになる。

 財務省としては歯ぎしりをする思いだろう。何しろ武藤敏郎前日銀副総裁財務省のエースであり、ノーパンしゃぶしゃぶ事件による財務省に対する世間の風当たりが強くなければ、確実に日銀総裁になる予定の人だったからである。

武藤君、今財務省に対する風当たりは強い。つらいだろうが(日銀出身の)福井君の下で副総裁を務めてくれ。福井君の後は必ず君を日銀総裁にする政府武藤氏との密約があったはずだ。
そのため、武藤氏としては財務省事務次官から日銀副総裁への降格人事を飲んだ。官僚の世界では異例の人事だ。

 しかし世の中とは分からないものだ。昨年の参議院選挙で自民党が大敗したため、このシナリオがまったく狂ってしまった。
民主党小沢氏は政権奪取に的を絞っている。
政府案を徹底的につぶせ。財政と金融の分離だ。武藤では駄目だ」激を飛ばした。

 福田総理密約があるからなんとしても武藤氏を押さざるを得ない。
武藤副総裁以外適任者はいない。経歴が大蔵省というだけでだめだというのはおかしなはなしだ
本音は武藤氏日銀総裁にしないと、今後の政権運営で財務省の協力が得られないということだ。

 武藤氏を蹴られ、セカンドベストの案としてこれも財務省元事務次官田波耕治氏を押したが、再び民主党小沢氏に一蹴された。
倒閣だ。福田首相の嫌がることは何でもやれ

 最後は福田首相が折れた。
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議で日銀総裁が空席では格好がつかない。日銀の白川君を総裁にしよう
これで財務省の面目は丸つぶれだ。ノーパンしゃぶしゃぶの影響はここまで響いている。

 実は日銀総裁は、あるルールによって選ばれてきた。
通常、日銀総裁は識見や能力によって適切な人が選ばれていると思われているが、実際は順番だ。日銀と財務省(旧大蔵省)のエースが順番に日銀総裁になることが決められている。

 この場合のエースとはその組織を守っていくのに最もふさわしい人という意味で、必ずしも識見や能力が高いことを意味しない。
かえって能力などあると組織より自分のことを考えるから厄介だ。
個性が強すぎる。組織人として向かない
日銀総裁からグリーンスパン前FRB議長のようなカリスマが出ない理由だ。

 識見や能力がないと日銀総裁が務まらないのではないかと思われるが、実際はそうした能力は必要としない。
日銀総裁が能力を発揮しようにもそれを発揮する場所がないのだ

 教科書では「日銀は通貨と為替の番人」といわれ、① 金利政策、② 通貨量の調整、③ ささやきによる市場の誘導、を行なうことになっているが、教科書に書かれているだけで実際は違う。

 金利政策については、10年以上にわたって超低金利政策が取られ現在の政策金利0.5%のままだ。これでもようやく0.1%から0.5%まであげたのだ。
金利政策が有効に機能するには最低でも2%程度の金利水準になければならない。上げ下げで効果が発揮できないからだ。

 たとえばアメリカのように政策金利5.25%から2.25%に、3%も下げれば市場も反応する。しかし日本では下げても最大0.5%でお終いだ。
この0.5%日銀の虎の子だから、おいそれと下げたら次の手がない。
現行水準を維持します」それだけなのだ。これなら私でも言える。

 日銀総裁の「ささやき」についても市場はまったく無視している。
グリーンスパン前FRB議長と大違いだが、日本の経済規模がますます縮小しており、世界経済の中の位置づけが低いのだから、「聞いても無駄」というのが市場の評価だ。

 唯一の日銀の役割は、金融機関や証券会社が取り付け騒ぎになりそうな場合に、適切に資金を供給することだが、これは緊急性を要するプロの仕事で、日銀総裁は事後に了承することしかできない。
一分一秒を争う仕事に、日銀総裁が口をだしていたら、金融機関がばたばた倒産してしまう。

 だから残された日銀総裁の唯一の仕事は、主要国財務相・中央銀行総裁会議に出席して、いかにも風格があるところを見せることだけになってしまう。
どうやら、日本は大丈夫そうだ。なにしろ日銀総裁がこうして会議に出席して、席にすわっているのだから

 だから日銀総裁の人事では、日銀財務省のエースを順番に選んでも、また少々空白期間があっても、なんとか国際会議までに間に合えばまったく問題がないのだ。

 

 

 

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