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(20.3.31)ウィニー問題は大変だ

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 先日(22日)、日本銀行松江支店の検査情報がウィニー暴露ウイルスに感染してインターネット上に流出して大騒ぎになった。
流出した資料の中には「破綻懸念先」等の情報があったというから、破綻懸念先と知られた企業は死活問題になっている。

 日銀はこの情報を掲示している2チャネルにあわてて情報の削除を依頼したが、一旦流出した情報はどのようなことをしても削除できないのがウィニーの世界だから、後の祭りだ。

 これでは日銀考査の権威は丸つぶれと言っていいだろう。
お宅の銀行のセキュリティーレベルは危険な水準にあります
そうですか、日銀の松江支店並みなのですね

 実はウィニー問題については3つの別個の問題があるのだが、一般にはそのことが理解されていない。
3点とは以下の内容をさす。

① ウィニーを開発したことが問題なのか
② ウィニーの利用方法を悪用することが問題なのか
③ ウィニーに取り付く暴露ウイルスによって情報が漏洩することが問題なのか

 日銀松江支店の例は上記の③にあたる。

については、開発者の金子勇氏が逮捕され、2006年12月、一審で有罪判決を受けた。著作権法違反の幇助(ほうじょ)で150万の罰金の支払いを命じられている。
金子氏はこれを不服として控訴しているが、私の判断は金子氏は無罪である。

 金子氏が幇助をしたと言うのは、姉とのメールで「悪貨が良貨を駆逐するのはいつの時代でもそうで、悪用できるようなソフトは特に宣伝しないでも広まるね」と言ったことがあげられているが、これは一般論としてはまったくそのとおりなのだから、単に常識を述べているに過ぎない。これをもって幇助と言うのには無理がある。

 自分自身が著作権法に違反したわけでも、ウィニーを悪用した人を直接指導したわけでもないので、幇助は言い過ぎだ。
私は上告審では無罪になると想定している。

一方、ウイニーの悪用については断固とした取締りが必要だ。
ウィニーはファイル交換ソフトの一種だが、ウィニーを使用している人約50万人の約9割は違法使用と推定されている。

 ウィニーが違法ソフトと言われている最大の理由がこれで、音楽ファイルや映像ファイルが無断で無料配信されているのだから、著作権保護団体としては見過ごすわけにはいかないはずだ。
年間の損失額は約100億円と言われているが、中国や東南アジアに多いDVDの違法コピーをネットで行なっているのだと思えばいい。

 しかし、この対応について総務省は以下のような実に不可解な判断をしている。

 ウィニーはサーバーを使用しないパソコンTOパソコンP2Pという)で通信を行なうのだが、当然ながらプロバイダーのサーバーを経由する。通路として利用するわけだ。
その時サーバーの通信負荷が異常に高まり、それがプロバイダーの悩みの種だった。ウィニーによるファイル交換データ量が多いからだ。

正式なお客様のメール交換にも支障が出るウィニーをなんとか排除できないか
そこでプロバイダーのぷららが「ウィニーを検知したら、その通信を遮断したい」と総務省に届け出たところ「通信の秘密保持を定めた電気通信事業法に違反する」ので駄目だというのだ。
ウィニーかどうかを知るためには電文を見ることになるが、それが「通信の秘密」に抵触すると言う。

 信じられないような判断だウィニーの利用者の約9割は違法行為をしており、そのためにプロバイダーのサーバーがまともに動かなくなっているのに、その対応をプロバイダーがしてはいけないと言うのだ。
総務省は違反行為者の味方なのか」世間があきれた。

通信の秘密保持」などという建前論をいっている場合でないのは空港の手荷物検査と同様で、飛行機が爆破されるよりは手荷物チェックをしたほうがよいと言うのと同様だ。
ネットの世界ではウィニーはアメリカのハリケーン並みの猛威をふるっている。

 総務省も世間の反発の大きさにあわてて、ようやく最近になって協議会を発足した。悪質利用者へ警告したり、ネット接続を停止する等の措置をとるための協議を始めたのだが、なんとも後手後手と言う印象は否めない。

③の暴露ウイルスについては、「著作権団体があまりに違法コピーが蔓延するのに頭にきて密かに開発した」とうわさが出たいわくつきのウイルスだ。名前をAntinnyと言う。
いわば「目には目を」と言うわけだが真偽のほどは分からない

 当初は「ウィニーで違法コピーをしていたのだから暴露ウイルスに感染しても自業自得だ」と同情されなかったが、日銀、裁判所、警察、自衛隊、公官庁、新聞社等のパソコンが暴露ウイルスに感染し、情報が漏洩するようになって、情勢が一変した。

これは大変だ。普段はまじめな生活をしている人が、違法コピーに手を染めている。被害はどこまで拡大するかわからない

 あまりに社会的影響が大きくなりすぎてほおっておくことができなくなった。
政府はあわてて公官庁パソコンウィニーインストールすることを禁止した。
それはそうだろう。日銀考査の金融機関への通知で「この情報を第三者に流失させた場合は、金融機関の責任を問う」なんて言っておきながら、自分で流出させては立場がない。

 現在では、ウィニーは会社を含め公的な使用は禁止になっており、使用しているのは個人だけと言うことになっている(ただしこれも建前だけの可能性が高い)。

 なお個人でウィニーを利用している人には以下の注意が有効だ。

 まず常識としてウィニーには暴露ウイルスが取り付くと思ったほうがよい。当然アンチウイルスソフトはあるのだが、これは暴露ウイルスアンチウイルスソフトの競争だから、常にワクチンインストールしていなければならない。

 特に社会的地位のある人から情報が漏洩した場合は、自分の地位を失うことは確実だから、ただで映像ソフトを入手したことが、高い代償になることは受けあいだ

 なお、すでにノリでウィニーインストールした人は直ちにアンインストールすることを勧める。その時自分がパソコン操作に不慣れな場合は必ずベテランの人にウィニーが削除されたか確認したほうがよい。
完全に削除することもそれなりの技術が必要で、消したと思っても残っている場合があるからだ。

だから通常のパソコン利用者はウィニーを利用しないのが一番だ。


 

 

 

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