(20.3.27)新銀行東京のメルトダウン
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新銀行東京がメルトダウンし始めた。メルトダウンとは、原子力発電所などにおいて原子炉が耐熱限界を上回る高熱により融解、破損することであるが、もはや新銀行東京は回復不能だ。
都議会は都知事の釈明演説と交換に、400億円の追加出資を認めたが、この金はまったくの無駄金に終わるだろう。
すでに出資金約1200億円に相当する累積赤字が発生しているのだから、誰が見ても新銀行東京は倒産企業だが、石原都知事は武田信玄になったらしい。
「よいか、新銀行東京が倒産しても、その事実を3年間都民に伏せ、生きているように見せるのじゃ」
「オヤカタ様、どうしてそのような措置が必要なのでございましょうか」
「わしの都知事の任期が3年後には切れる。それまではなんとしてもこの事実を秘すのじゃ。そのための維持費400億じゃぞ」
もっとも石原都知事としても単独で生き残れるとまでは考えていないないらしい。都議会の答弁で「外国ファンドの方が新銀行東京の価値を評価しており」「外資との提携を模索している」と言っている。
すでに11の金融機関からそっぽを向かれて、あとははげたかの異名を持つ投資ファンドしか相手にしてくれないらしい。
しかしこれとても期待しないほうがよさそうだ。
覚えておられるだろうか。日本長期信用銀行が投資ファンドリップウッドに買収された経緯を。
長銀は新銀行東京など比べ物にならないほど経営規模の大きな日本を代表する金融機関の一つだったが、政府の資金を約8兆円つぎ込み、うち約5兆円で赤字部分を清算した後、たった10億円でリップウッドに売却された。
当時でさえ総資産20兆円のまったく赤字のなくなった銀行が、10億円なのだ。これが投資ファンドの実態である。
長銀に比較して総資産が40分の1程度で、貸出先は無担保無保証の中小企業先の債権を、いったい誰が購入するだろうか。
投資ファンドにとって、証券化する優良な貸出先がない新銀行東京を買収するメリットはどこにもない。
結局新銀行東京は、預金を預金者に返し、貸出しはできるだけ回収し、新しい融資はまったくすることができず、自然消滅する以外に手はない。
現在の預金は4000億相当だが、これは早晩ゼロになると思わなくてはいけない。新銀行東京はこの返済財源がないのだから、東京都は全額貸付によって対応せざるを得ない。
この4000億の都の貸付が回収されるかどうかは、新銀行東京の貸付・保証金約3000億円の回収の如何による。
現在の都の推定では4年間で300億円未回収になる予定だが、これは大アマな数字に過ぎる。
新銀行東京の融資先は、都銀や信金がもてあました最も経営状態の悪い企業をたらいまわしにした先だ。
「お宅にはこれ以上融資はできません。しかし幸いに新銀行東京と言う駆け込み寺があります。そこに行ってみてください。
なお、この銀行は融資をコンピュータで審査していますので、決算書は相応の内容が必要です。ただし融資後のモニタリングはいっさいありません」
実際は金融庁の検査が入ったら、すべてが査定先になると思ったほうがよいほどの経営状態が劣悪な取引先がほとんどだ。
おそらく新銀行東京はこの3000億円のうち回収可能なのはよくて50%、最悪で80%は回収不能と思ったほうがよい。
結局、新銀行東京は約1200億円の出資金をすべて使い尽くし、さらに400億円を業務運営費として費消し、現在の貸出・保証金のうち1500億円から2400億円程度が回収不能となって、自然消滅する以外に手はない。
だから石原都知事がこの銀行設立で、無駄にする金額は合計で3100億円から4000億円の間になりそうだ。
この点で、前回選挙の石原都知事の選挙対策本部長をした、佐々淳行氏(元内閣安全保障室長)が、毎日新聞のインタビューに答えて実に興味深い談話をしていた。
「新銀行は石原知事がはじめからリスクを覚悟で中小企業を救済するための徳政令として、義侠心から作った銀行だ。
(こんなことを非難するのではなく)赤字だった都財政を再建させた知事の功績を評価すべきだ」
そうなのだ。これは徳政令だったのだ。
「金は返す必要はないぞ。ただ借りたふりだけはしろ」
もともと回収など考えていなかったことは前の代表執行役仁司氏の行動を見れば分かる。
しかし石原都知事はこれを徳政令とは言わず、銀行業務だと都民を欺いた。この責任はやはり取るべきだろう。
昨日(25日)の都議会で石原都知事はしぶしぶ都の責任は認めて、どうにか400億の追加出資を認めてもらいたいと答弁した。
しかし、石原都知事から都民を欺いたことの釈明は聞かれなかった。
現宰相福田康夫氏は側近にそっと漏らしたという。
「この世の中で私の意のままににならないものが3つある。一つは日銀総裁の人事、二つ目が道路特定財源の予算措置、そして最後が石原都知事の責任問題だ」
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