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(20.3.21)年金問題は解決不能だ

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 先日(14日)社会保険庁が公表した基礎年金番号に紐付けられない不明分年金記録5000万件の分析結果を見て、これは「最後の一人まで年金を支払う」のはまったく不可能だと認識した。

 政府と野党間では「3月末日までに5000万件を特定するのか(野党)」「単なるシステム照合するだけか(政府)」で見解が分かれているが、どちらにしても解明困難な年金記録約2000万件になりそうだ。
名前がなかったり、生年月日がなかったりして基礎年金番号に紐付けられないのだ。

 残りの3000万件のうち、2000万件は何とか確認できたが、後の1000万件は年金特定便でこれから確定するのだと言う。
なんてことはない、システム照合で分かったのは4割、分かりそうなのが2割、そして残りの4割まずだめだと言っているのだ。

 もっとも政府は解明困難な年金記録2000万件についても、手作業で台帳等との照合をするといっているが、期待しないほうがよさそうだ。
なにしろ本人のものとほぼ思われる年金1000万件でさえ、特定便で確認しても自分のものだと回答した人が約1割なのだから、他は推して知るべしだ。

 私のように37年間同じ職場にいた人はともかく、通常は職場を数箇所は変わっており、その間厚生年金から国民年金等への切り替えが必要だ。
しかしそうした届出を国民が適切に行なっていたと考えるほうがおかしい。
年金なんて先の話さ。こっちとら食うことでいっぱいだ」と言うのが実態だろう。

 一方社会保険庁は国民の意識がその程度なのを利用して、まともな事務処理をしてこなかった。
80年代に年金記録をコンピュータにインプットしたが、本人に確認せずとりあえずインプットすれば良しとした。
「『やまさき』でも『やまざき』でもどっちでいいじゃないか。適当にインプットしておけ。違っていたら本人から申請させればいい

 実際は申請しようにも個人は過去の記録なんておいそれとは持っていないから証明できず、泣き寝入りになった。

ほれみろ、本人申請なんてないじゃないか。後は福祉施設を作って天下りだ

 ところが、皮肉なものだ。
97年に政府が導入した基礎年金番号制度で、社会保険庁のずさんな事務処理が明らかになった。
約3億件の年金記録のうち、基礎年金番号に紐付けられない約5000万件の年金記録が発生したからだ。
もっとも社会保険庁はこの事実を隠し政府にも知らせなかった。

 宙に浮いた年金記録があることを指摘したのは民主党だが、政府は社会保険庁からの情報がなかったのでことの重要性を認識できなかった。
指摘をした民主党でさえ、当初は数十万件程度だと思っていた位だ。

 ところが社会保険庁からの正式な報告で5000万件であることが分かった。
これには安倍前首相も激怒したが、当然すべき社会保険庁の関係者の処罰をしなかったので、自民党は参議院選で惨敗してしまった。
あわてて関係者の処罰を参議院選後に行なったものの後の祭りだ。

 味を占めた民主党は年金問題を徹底的に追及することにした。
政府の公約は20年3月末までに最後の一人まで年金をしはらう」ことにあったのだから、公約違反の舛添大臣は責任を取って辞任すべきだと言う。

 しかし民主党が調子に乗りすぎるのは問題だ。
今選挙を行なえば民主党地すべり的大勝をするのは確実で小沢政権が誕生する。
しかし今度は自分達で年金問題を解決しなければいけなくなる。

 まさか「年金を最後の一人まで支払うと約束したは舛添大臣で、民主党は約束していない。確定できない年金がいくらあってもいい。
民主党は年金問題を解決しない
」なんて言えば国民が納得しないだろう。

 これはだれがやっても確定できない年金記録が約2000万件あることを政府も野党も国民も認めたほうがよさそうだ

 「できもしない」ことを「できる」と言って時間延ばしにするのを「先送り」と言うのだが、そんなことをしても時間の無駄と言うものだ。


年金記録の照合についてあなたのご意見をお聞かせください。

 

 

 

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