(20.2.26)帽子
「おゆみ野四季の道」のテーマソング。以下のファイルをダウンロードすると曲が始まります。
「pianotokurarinetto.mid」をダウンロード
私の趣味は帽子の収集だ。家の中には世界各地で集めた帽子がいたるところに飾られている。特に1998年のフランスワールドカップの時のイングランドの帽子はもっとも好きな帽子だ。
私の帽子好きは家族の間では周知の事実だが、これが実は「はげ隠し」であることも知られている。
私はどこに行くにも帽子をかぶるが、これが家族のもの笑いの種だ。
「おとうさん、いつも帽子をかぶっているとむれてかえって毛が抜けるのよ」かみさんの台詞だ。
「親父の帽子コレクターの費用を全部集めたら、かつらが買えるんじゃない」息子の台詞だ。
残念なことに私は30台の半ばではげ始めた。きっかけは大病をしたからである。
真珠腫性中耳炎の手術を受け、約1ヶ月間入院したのだが、その後急激に頭髪が薄くなった。おそらく強い薬を使用したのだろう。
当初は育毛剤を色々付けてみたが、一向に効き目がない。
25年ほど前のことだが、当時の育毛剤はほんの気休めであり、薬をふりかけた後のマッサージのほうが効果があるくらいだった。
髪の毛が薄くなるにつれて気もそぞろになってきた。
そして帽子を常時かぶるようになった決定的なきっかけは、私の親戚筋の女性が「結婚の3条件」として「ちびと、でぶと、はげはいやだ」といったからだ。
女性の本音を聞いて愕然とした。
幸い私はすでに結婚しており、かみさんがはげを離婚条件にするとは思われなかったので反論した。
「はげはいいんじゃない。だいいちかわいらしい」
しかし心は複雑だった。
以来、この精神的的ショックで帽子を常時かぶるようになってしまった。
さすがに会社で帽子をかぶるわけにはいかなかったが、通勤を含めてそれ以外の場所では必ず帽子をかぶることにしたのである。
そうすると恐ろしいことに、こんどは帽子を取ることに恐怖感がわくようになる。どこに行っても帽子が取れなくなったのだ。
昔私が学生の頃、バイトをしていた留学生会館のコック長が絶対帽子を脱がないので有名だった。
「おやじさんはハゲを人に絶対見せないな」
「もう年なんだからはげたっていのにね」
「コック帽を取ると、下に毛糸の帽子をかぶってるのよ。だから絶対に見えないの」
当時は私も笑って聞いていたが、ひとごとでなくなった。
おかげで食事をする場所もマクドナルドのようなファーストフード店を使用することが多くなり、間違っても格式ある老舗のような場所には近づかない。帽子を取らなければならないからだ。
難しいのは帽子を取るべきか否かのぎりぎりの場所はあり、判断に苦しむことだ。
以前コンタクトレンズを使用しようとして眼鏡屋に行った時は一騒動になってしまった。
コンタクトレンズを使用するには、医者のチェックが必要で、その眼鏡店が契約している眼科医が検眼する。
その時私は帽子をかぶったまま、つばを後に回して検眼を受けようとしたら、眼科医が烈火のごとく怒ってしまった。
「あんたは、いつも帽子をかぶって医者の前に来るのかね。礼儀と言うものをわきまえたまえ」
私は「はげ隠し」だととてもいえなかったので、ひどい気まずい状態になり、結局コンタクトレンズを購入するのを諦めた。
はげのためにコンタクトレンズも買えないのだ。
こうして私の部屋は帽子で埋まってしまった。
事情を知らない人から「よほど帽子が好きなんですね」なんて言われると「ええ、私の唯一の趣味です」と陽気に答えるが、後でトイレに入って涙をこぼすのはいつものことだ。
今日の写真は四季の道の梅の花です。今が一番美しい時期でしたので撮ってきました。
http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/2022303/photo?authkey=kWEx6Y79lYE#s5171010506661330674
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