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(19.10.23)日本山岳耐久レースの事故

 先日実施された日本山岳耐久レース(長谷川恒夫CUP)で事故が起きたという。小河内峠付近で登山道から約200m滑落し、40歳の男性が死亡したのだそうだ。
このレースは奥多摩の山中を24時間かけて走破する非常な過酷なレースで、距離は約70kmだが、平地換算するとほぼその倍の140km走程度のイメージになる。

 私もこの大会に過去3回出場しており、今年も甲州夢街道215kmに出場していなかったら、このレースに出場する予定でいた。
スタート時間が午後1時であり、この時期(10月20日、21日)は日の暮れるのが5時ごろだから、実際は夜中中奥多摩の山中を走ったり歩いたりすることになる。
夜中のレースにしたのは一般の登山者に迷惑をかけないような時間設定をしたからだろう。

 標高は一番高い三頭山で1500mで、スタート・ゴールの五日市が400m程度だから、標高差1100mを上り下りすることになり、体力的には非常にきつい。

 このレースは夜中山中を走るので事故はつき物だ。
私の場合も最初出場した大会(12年10月)の時は、三頭山のくだりの岩の稜線から足を踏みはずした。幸い約5~6m程度落ちて、木の梢に引っかかって止まったが、頭が下で体が上だったので感覚としては宇宙遊泳の感じだった。
しばらく自分がどうなっているのか分からず、ただ木の梢の中でもがいていたのを思い出す。
今回死亡された方と立場は同じだ。

 2回目に出場(15年10月)した時は、梯子(はしご)状の橋を駆け抜けようとして、梯子と梯子の間に足を突っ込んだ。思いっきりすねを打ったので悲鳴をあげてしまった。タイツには血がにじんできたし、骨が折れたのではないかと思ったが、10分程度倒れていたら痛みが引いたのには心底ほっとしたものだ。

 3回目(17年10月)の時は、長雨で登山道が完全にぬかるみ、ちょうどこしあんの上を滑っているような感覚だった。この時は転ばない方が不思議なくらいで、私だけでなくほとんどの人が泥人形のようになっていた。まともに走れないので急な坂はお尻で滑って下りたものだ。

 今回の事故を受けて、おそらく日本山岳連盟では事故防止のための対応案を検討すると思われるが、私の経験からいくつかの提案をしたい。

 一つ目は出場者数の制限である。私が始めて出場した12年度の時は、1000名を少し越える程度の人数だったが、17年度の時は2000名を越えていた。今回も2000名を越えている。

 人数が多くなると出場者のレベルが相対的に低下し、本来とても出場が無理な人もこの過酷なレースにでてくることになる。
このレースでは今までは出場資格を問うてないが、こんな厳しいレースで事故はつき物なのだから、最低限 昼間のマラニックの経験があるとか、100Km以上の完走の経験がある人に限るべきではなかろうか

 さらに運営面でも2000名は過剰だ。17年度の大会の時、走ってしばらくした登り斜面で渋滞がおこり、雨の中を1時間あまり立ち止まっていなければならなかった。
これでは渋滞を避けるために無理して飛び出すか、渋滞後にスピードを上げて懸命に走ることになる。
いづれにしても体力的に非常な疲弊を強いられてしまう

 二つ目の提案は、靴はマラニック用の物を使用させるべきだと思う。通常のマラソンシューズで参加している人も多いが、山中では底に凹凸があって地面を良くつかむマラニック用の靴でないと危険だ。
特に地面がぬれている時は絶対で、登山道は谷に向かって傾斜しているから、マラソン用シューズでは横滑りして転げ落ちてしまう。

 三つ目の提案はスタート時間の変更である。このレースは一般の登山客に影響の出ないよう、主として夜半に行われているが、やはり無理があるのではなかろか。
通常この主のレースのスタート時間は朝の6時であり、そおすればほとんどの時間帯を明るいうちに走ることができる。
スタートを6時にする場合の問題点は宿泊施設が足らないことだが、スタート地点の中学校や小学校の校庭にテントを張ることを許可してもらえば、宿の問題はほとんど解決するはずだ。

 以上の3点については、今回の事故を教訓に事故防止策として有効だと思うのだがどうだろう。このレースに出場した経験者の意見を聞きたいものだ。

 なお、今回の事故が発生した小河内峠付近は、最大の難所三頭山をようやく越え、コースも半分以上経過した場所なので、体力的にはピークを迎えていたのではなかろうか。
また小河内峠付近は小河内ダムに向かって急斜面が続いている場所であり、危険な箇所ではあることを思い出した。

 

 

 

 

 

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コメント

このレースが強い登山家を目指す人達の目標として開催された当初、手伝いをしたことがあります。いつの頃からか参加者の多くが登山者ではなくランナーになり、ランナーの皆さんには申し訳ありませんが手伝いを止めました。

現在、公式パンフレットには「コース上に危険な場所はほとんどありません」と書いてあるようですね。山の事故に対応しきれない人々を参加させて「滑落による死亡事故」が生じること事態、主催者側の認識不足が問われます。山の危険に対応する必要装備も今年から必須ではなく任意に変更されたとのこと。主催者はどんな山でも予測できない事故が生じるという登山の基本まで捨てタイムを競うランナー寄りの要綱に変更する理念の無さも反省して欲しい。

カモシカ山行と称し何度かこのコースを夜間含めて歩いたことはあります。歩いているだけでは危険を感じる箇所は無かったと記憶しています。「夜間」の「タイムレース」が山の危険を増幅した訳と思います。

この死亡事故を少しでも自分のこととして感じたく現場を見に行ってきました。なだらかな起伏がある45kmポストの先で尾根上に立ち木があり、これを左に巻き込む急な下りにテープが張られていました。ここが事故現場と推察しました。この木の右側に巻き道が付いていましたが、これは事故後に付けたのか滑りやすい斜面になっていました。
左側は雑木の多い斜面で一見何かにつかまれば180mも落ちると思えませんがでしたが、暗がりでは見えなかったと想像できました。谷底は枝や葉の間からわずかに見えました。あそこまで落ちたんだ。愕然としました。
私はこのレースが長谷川恒夫カップとするなら、登山者のものであって欲しいです。だから改善するなら以下を提案したい。

山岳レースであるなら、あらゆる事故が想定できる。それを前提とした考えたら以下の案が出てきました。

①レースの目的を登山に必要な「チームワーク作り」にして参加者を複数名のチーム制にし常に同一行動にする。複数のメンバーが一緒にいれば事故があっても対応が早いはず。

それでは個人競技を楽しむランナーがつまらない。ランナーにも参加してもらいたい。あくまで個人競技にこだわる、というのであれば、

②危険を少しでも小さくする為日中だけのレースにする。スタートは日の出が合図。日の入りまでにゴールできない人をきちんと誘導して途中下山させる。とするとコース変更も必要か。

(山崎)非常にレベルの高いコメントをいただき感謝しております。とても参考になりました。
今回はインターネットの持つ情報収集力を感じました。

投稿: sayori | 2007年10月29日 (月) 13時09分

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