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(19.7.28)忠助 シナリオその1

 今日から4日間はシナリオ週間です。シナリオは私の個人的な趣味で、時々作成しています。私の趣味につき合わせてしまってまことに申し訳ないのですが、書いている本人も息抜きをして楽しまないと、とても毎日ブログがかけません。

 今回は時代劇に挑戦しました

1 岩見の国、津和野、三本松城、本丸。 
 
  音響 登城を知らせる太鼓の音
茶坊主 「橋本周(あまね)様、おなーり」

  音響 城内の朝の喧騒
語り 「岩見の国、津和野。城主、坂崎出羽守が守る三本松城の本丸に、重臣の橋本周が登城してきた」
            
茶坊主 「ささ、おお殿様がお待ち兼ねです。橋本様、お急ぎくだされ」

  音響 襖の開く音。畳のすり足の音
出羽守 「おう、周か、まっていたぞ。さっ、ちこうよれ」
 「はっ」
出羽守 「これ、周、はよう、ちこうよれ。おりいっての頼みがあるのじゃ」(せかせる)

  音響 すりよる音
 「殿よりの直々の頼みとは、して、いかがなことでございましょうか」(怪訝な感じ
出羽守 「うむ、周は当家の重臣ゆえ、十分承知のこととは思うが、当坂崎家は毎年、祖 先の霊をうやまい、当家の繁栄を祈念して、伯耄大山で荒業を執り行っておる。そのこと、存じておろうな」

 「当家、最大のイベントとこころえております。その業の厳しさは、ヨーロッパの西においては、並ぶものなき荒業と聖フランシスコ・ザビエルが申しておりました」
出羽守 「うむ、そこでじゃ、周。本来なら、古式にのっとり余が当家の頭領として、伯耄大山の荒行に出立すべきであるが、あいにく今年は三勤交代で江戸表にまいらねばならぬ。まことに残念な事態とわねばなるまい。ものは相談じゃが、周、余にかわって伯耄大山にいってくれぬか」(周の顔を覗き込む)

  
音響  激しい心臓の鼓動
 「(息を整えながら)殿よりの直々のお言葉なれば、喜んでお引受けすべきところ、あいにく、拙者、右足に脚気がでており、大事なお役目なればこそ、お引受け致し兼ねます」
出羽守 「すでに20余名のものに依頼したが、いずれも明日おもしれぬ病気もちばかり。周、そちが最後の頼みじゃ(哀願)」

 「右足だけでなく、左足も脚気がでておりますれば、ひらにごようしゃを」
出羽守 「昨日は奥女中のあやめと楽しげにテニスをしていたではないか、見ておったぞ!(皮肉っぽく)」

 「その後、急に脚気がでてまいり(冷や汗を拭く)」
出羽守 「しからば、これではどうじゃ。伯耄大山の荒行をみごとなし遂げたあかつきには、100石、加増いたそう。どうじゃ、周、脚気はなおったか?」

 「いつのまにか、全快しておりまする」
出羽守 「そうであろう、そうであろう。周、吉報をまっておるぞ」

2 橋本周の屋敷

  音響 小鳥のさえずり、竹藪にふくそよ風
語り 「ここは、橋本周の屋敷。おりしも周が妻、菊にことの次第を説明している」

 「すると、あなた様はこの大役をお引受けしたのですか(軽蔑をこめて)」
 「100石、加増と聞けば、ひきうけない訳にはいくまい。なにせ、来年は子供の高校受験もあるし、そちの訪問着も新調せねばなるまいし」

 「殿は、伯耄大山の荒行がどのようなものか御存知ないから、そんな呑気なことを言えるのです。よいですか、昨年、服部十蔵様がお引受けになり、いさんで大山縦走をしていかなることになったか」

3 大山縦走(1年前)

  音響 暴風雨
語り 「一年前、大山縦走中の服部十蔵」

十蔵 「(叫ぶ余は十蔵じゃぞ、風がなんじゃ、雨がなんじゃ、断崖絶壁がなんじゃ、大山縦走ぐらいでひるんで、岩見の荒武者といえるか、こわくないぞ、こわくないぞ(段々声が弱くなる)なむさん、神よ、もしあら
ば、この十蔵を助けたまえ。さ、あらざれば、我に罰をあたえたまえ」

  音響 急に激しくなる風雨。雷
十蔵 「なんだ、なんだ、なんだ、わいをおちょくってんか。こんなにたのんでるのに、こんな強い風、ふかせよって、あほんだら。雷様に臍、とられるやないけ」

  音響 突風。崖崩れの音 
十蔵 「あっ、落ちる、落ちるやないか。足の下、なにもないやないか。助けて、お願い、手、しびれる(岩に片手をかけて悲鳴をあげる)」

  音響 熊の雄叫び。飛んでくる熊の足音
十蔵 「(騒ぐ)なんだ、なんだ。なぜ熊が出てくるんだ。手かんでどうするの、あっ、ひっぱりあげてくれるの。痛いやないか、骨がちぎれるやないか。あぁーーーー」
  音響 骨が折れる音

4 服部十蔵の館(1年前)

  音楽 荘重な葬送曲
  音響 白装束のすれる音

語り 「服部十蔵の館。切腹をするため白装束になっている十蔵」

十蔵 「返す返すも残念なのは、熊に助けら れるとの醜態を演じたこと。あのまま谷に落ちていれば、かかるいきはじを晒さずにすんだものを。しかし、この失態、大殿に知られた以上、見事腹きってはてるより仕方ない。許せ、梅」

  音響 泣く十蔵の妻、梅
十蔵 「これが辞世の句じゃ。(熊であれば襲いくるものとおもいしを 伯耄の熊は人こゆる熊)」
  音響 さらに強く泣く梅

5 橋本周の屋敷(ふたたび現在)」

  音響 小鳥の囀り。竹藪にふくそよ風
 「その後、服部家はお家、断絶。梅殿はモスクワに移り、熊のミーシャと再婚し、熊女を出産。おお、いやじゃ、いやじゃ、わらわは熊の嫁などになりとうございませぬ。こたびの件、お断り下され(わめく)」
周 「しかし、一度引き受けると言った以上、断る訳にもいくまい(ぼそぼそと)」

 「ふん、子供の高校受験のためとは聞いて呆れる。おおかた江戸表で近頃出没する異国のダンサーとねんごろになるための費用であろうに」
周 「いや、けして、そのようなことは、断じてない(慌てる)」

 「分かりました。ことここに到っては、お断りすることもなりますまい。お引受けなさい。ただし、影武者をたてるのです」
 「なんと、影武者!(声が高く)」

 「お分かりになりませぬか。殿の体力で、伯耄大山の荒行、とても勤まりますまい。ここは下男の忠助を影武者にたて、みごと目的を達するのです」
 「あの体力だけが取り柄の忠助か?あれは、わしのような品格がないではないか」

菊 「いま必要なのは品格ではなく、体力です。すぐに忠助をおよびくだされ」

(以下 その2に続く)

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コメント

 出雲安来の十神山、一度はたずねたい観光地です。

投稿: 古事記ファン | 2015年4月21日 (火) 21時07分

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