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(19.7.29)忠助 シナリオその2

7月28日から4日間はシナリオ週間になっております。このシナリオはシナリオ1からの続きですので、まだ読まれていない方は、そちらから読むようにしてください。

6 橋本周の奥座敷

  音響 襖が強く開く音。力強い足音
忠助 「だんなさま、お呼びでございますか、忠助、めいりやした」
 「うむ、奥がそちに用があるそうな」

忠助 「へい、奥方様、なんでごぜいやすか」
 「まずは忠助、近くによりなさい」

  音響 擦り寄る音
 「忠助、ちかごろジョギングは毎日しておるか?」

忠助 「へい、雨の日以外は走っておりやす」
 「さようか、よいこころがけじゃ。平時において乱をわすれず。これが戦国時代であれば一国一城の主になれたものを・・・あな、おしや・・」

周 「戦国時代でも頭がなきゃ、一国一城の主になれるはずがないよ(ぼそぼそと小さなこえで独り言)」
 「殿、おしずかに(きつく小さな声)。 さて、忠助、このたび殿が伯耄大山の荒行にでむくこと、知っておろうな」

忠助 「へい、中元仲間じゃ、さすが、武勲の誉れたかい服部様と、噂しあっておりやす」
 「しかし、詮ないこと(泣くまね)。殿には、決して他言すまじき病をお持ちなのじゃ」

忠助 「へい、病ですか?(同情の声)」
 「他言すまいぞ。実は殿は先天性骨萎縮症にかかっておられ、とくに高いところに登ると急に身体が縮んでしまわれるのじゃ」

忠助 「それで奥方様の前でいつも縮こまっておられるんでやすか」
 「うっ、うむ(狼狽)」

 「のう、忠助。これは人助けじゃ。殿にかわって伯耄大山にいってくりゃれ(哀願するように)」
  音響 激しい心臓の鼓動
忠助 「(一呼吸置いて)へい、本来なら喜んで引き受けるところでやすが、実はあっしも、人にいえねえ 病気持ちでして」

 「お前が病気もちとは聞いたことがないが・・・して何の病気じゃ?」
忠助 「へい、先天性骨拡大症といいやして、高い所にのぼると急に身体が大きくなりやす。先だっても屋根の修理をしておりましたら、急に身体がおおきくなり、屋根をぶちわって下にまっさかさま。下じゃ、雷様がおちてきたとおおさわぎ・・・」

  音響 周と菊の咳払い
菊 「いや、忠助。そうじゃ、聞くところによれば、そちは女中のヒサとたいそう仲がよいようじゃのう」
忠助 「へい、先だって旦那様に晴れて夫婦になりていとお頼みしやしたところ、まだとしはもいかぬゆえ、しばし待つようにいわれやした」

 「これは不思議。忠助はすでに23、ヒサも18。ちょうどよい年頃ではありませぬか。のう、殿(きつい調子)」
 「あっ、いや、その、なんじゃな。どうしてもヒサでなくてはいかんのか。上女中のイネではどうじゃ(狼狽)」

 「なにを馬鹿なことを。イネはすでに80ではございませぬか」
 「おお、そうであった。では、トラではどうじゃ」

菊 「殿、トラは猫でございます。すると殿はなにかヒサが忠助と夫婦になっては困ることでもあるのですか(疑いぶかく)」

 「いや、いや、けっしてそのようなことはないぞ。なにもないぞ(慌てる)」
 「では、決まりました。忠助、ヒサと晴れて夫婦になることを許します。よろしいですね、殿(ぐっと念を押す)。ところで、忠助、先天性骨拡大症はもうなおったか」

忠助 「へい、なぜかすっかりなおりやした。伯耄大山には、明日にでも出立いたしやす(陽気に)」
 「よく、申した。はれてヒサと夫婦にな る日をまっております」

 「(小さな声で)なんで忠助がヒサと夫婦になるんだ。忠助には猫のトラがにあいじゃ」
 「えっ、何かもうしましたか」

 「あっ、いや、なにもいってないぞ」
 「ところで、旦那様。旦那様は伯耄大山にいってることになっているのですから、当家より、一歩も外出してはなりませぬ。先程近畿日本ツーリストよりパンフレットがおくられてきましたが、よもや旦那様は、韓国のキーセンツアーに参加なさるおつもりではありませぬな?」

 「いや、その、急に休暇がとれることになったので、見聞を広めようとおもってな、いや、そうなのだ(慌てる)」
 「(強く)なりませぬ。庭で身体をやき、旅の日焼けの代わりにしなさい」

 「(不貞腐れて)ヒサもだめ、韓国もだめ、やることないじゃんか」
 「西行法師の故事にならい、和歌をしたためるのです」

7.大山寺

  音響 僧侶の読経の声。蝉のかまびすしい鳴き声
語り 「出雲の国、大山寺。侍姿の忠助が大仙寺を訪ねる」

僧侶 「して、そこもとが、橋本周殿か」
忠助 「さようでござる」

僧侶 「おききおよびのこととは思うが、ここ大山寺は、奈良朝の時代より、霊験所として諸国にしられ、練行の士の恰好の行場である。ここと並びしょうされる場はただ一つ。アメリカの祈祷師、ジョージ・ルーカスのFSX撮影所しかない。存じておろうな」
忠助 「しかと」

僧侶 「では、大山縦走、死の荒業にはいるまえに、心の修行としてそちに公案をさずける。この公案がとけるまでは、ここ大山寺で禅の修行をしていただく」
忠助 「あの、公案ってなんでやすか」

僧侶 「なんじゃ、公案も知らずに修行にきたともうすのか。公案とはすなわち、直観による生命の認識じゃ。故丹波哲郎がやっておったろうが」

忠助 「はぁ?」
僧侶 「これがそちに授ける公案じゃ。解けるまでは、食事はおろか、寝ることも、また屁をすることもまかりならん」

忠助 「あの、屁もですか」
僧侶 「さよう。いざ、とかれよ(よき隣人として付き合うことの報いとはなにか)」

忠助 「あの、それが公案でやすか」
僧侶 「さよう、お釈迦様が三年も菩提樹の下で沈思黙考し、公案された難問中の難問じゃ」

忠助 「あの、簡単にといていいでやすか」
僧侶 「ふははははは(馬鹿にした笑い)この公案はあの山中鹿之助さえ、三日三晩考え、ついに解くことのできなかった公案、そこもとがすぐにとけるようなものではない」

忠助 「じゃ、お答えしやす。それはイラク戦争をイラク人の解放と位置づけて戦争をしたブッシュ大統領でやんす。いまはスンニ派だけでなくシーア派からも自爆テロをしかけられて、引きに引けなくなっています」

僧侶 「(驚愕)な、なんと。この事実、ボイス・オブ・アメリカをきいている当寺しかしらぬ、トップシークレットじゃ。そこもと、どこでこの事実しったのじゃ」
忠助 「へい、NHKの衛星放送でやんす」

僧侶 「げに、おそろしげなのは衛星放送。公案が解けた以上、禅の修行は終了じゃ。すぐさま伯耄大山の剣の刃の縦走にでられよ」

8 伯耄大山の山麓

  音響 蝉の声。木立の揺れる音。水のせせらぎ。忠助の足音
忠助 「なんだい、考案だなんて大袈裟なこといいやがって。単にニュースを聞いている かいないかの差じゃねいか、あほんだら」

  音響 寺の鐘の音。不気味な音楽
忠助 「あっ、ここですよ。大山寺の登山口。山伏が結界をひいて待ち構えているからって、さんざん旦那様から注意されてとこですよ。いや、じつに怖そうな山伏ですね」

  音響 鋭い金属音。50名のや山伏の集団。
山伏 「つぎの者、通行手形をみせられよ。荷物はそのパックだけか」
忠助 「へい、これだけでやんす」

山伏 「なかに、iPodとか、ポータブルDVDなんかは入ってないであろうな」
忠助 「ごぜいやせん」

山伏 「うむ、して、そこもと、服部周殿に相違ないな」
忠助 「服部周でござる」

山伏 「貴藩の藩主、坂崎出羽守殿より、近頃、伯耄大山の荒行に影武者を使う不心得者があるゆえ、厳にチェックするよう回状がまわってきておる。貴殿の人相書もあるゆえ、 しばしまたれよ」

  音響 不安をかきたてる音。心臓の鼓動。人相書を探す山伏の声

9.韓国と北朝鮮の国境 板門店

  音楽 007のテーマソング
語り 「韓国と北朝鮮を隔てる板門店。忠助が007のショーン・コネリーばりのタフガイに変身、山伏は北朝鮮の将校に変身する」

  音響 緊急事態をしらせる非常ベル
放送 「非常事態発生、非常事態発生。ただちに第一級警備につけ。007忠助が国境を突破しようとしている。射殺せよ。繰り返す。射殺せよ」

  音響 銃声。マシンガンの音。走りまわる兵士の足音
将校 「(さけびごえ)忠助はサイドカーに乗って逃げた。すぐさま追え」

  音響 サイドカーの爆音。追う自動車の爆音。銃声
将校 「(無線)こちら、板門店、板門店。忠助がサイドカーに乗って逃亡中。ヘリ部隊の応援をこう。繰り返す、ヘリ部隊の応援をこう」
部隊 「(無線)こちら、首領様ヘリ部隊。了解」

  音響 ヘリコプターの爆音
部隊 「(無線)こちら、首領様ヘリ部隊。忠助を発見した。ただちに攻撃に移る」

  音響 ヘリコプターが速度を上げた音
部隊 「ミサイル、発射」

  音響 ミサイルの発射音。炸裂音
隊員A 「外れたじゃないか。どこをねらってんだ。ばかもの。もっとねらって撃て。ミサイル一つでピョンヤンに五つもハンバーガー店ができるんだぞ」
隊員B 「はっ、すいません。第二ミサイル発射」

  音響 ミサイルの発射音。炸裂音
  音楽 最高に盛り上がる
隊員A 「しまった。前に元禄年間の看板がある。あそこに飛び込まれるとタイムスリップする」

  音響 サイドカーの爆音。看板を突き破る音
  音楽 007のBG終わり

10 大山の弥山(みせん)に登る稜線

  音響 稜線にふく風。小鳥の囀り。登山客の歌う山男の歌
語り 「こおして危機を脱した忠助は弥山(みせん)の稜線を登っていった」

忠助 「いや、おどろいたね。まさか人相書がまわっているとは知らなかったよ。おかげで、ちょっとした007をしちゃったじゃねえか。しかしなんだね、ここから見る日本海はじつに美しいね」

  音響 稜線に吹きつける突風
忠助 「おっととと、へっ、この程度の風で びくつく忠助様じゃありませんよ。いや、うちの旦那様もおおげさだよ。こんなのが、なにしおう伯耄大山の荒行かい」

  音響 忠助が歌うアルプス一万尺の歌。段々と息が切れてくる。はく息の音。はやがねのような心臓の鼓動
忠助 「(息がきれながら)へへへ、きましたよ。これが大山の頂上といわれた弥山(みせん)の山頂ですよ。さてと、ここからが本番だって旦那様がいってましたっけ」

  音響 不気味さをます音。不死鳥の叫びごえ
語り 「そのとき忠助は弥山から剣ガ峰にむかう切り立った稜線を始めてみたのでした。左右の絶壁が不気味に奈落の底へとおちこみ、地獄の様相を呈しておりました(女性の不気味な声)」

忠助 「(声がふるえる)へっ、なんだい、冗談じゃねいよ。この程度の断崖、怖がって中間やってられるかい。こっちとら、ヒサちゃんと夫婦になれるかどうかのせとぎわだよ 」

  音楽 野菊の墓のテーマソング
語り 「伊藤左千夫盗作、野菊の墓」

ヒサ 「忠助さんは、きっと大山にいって帰ってこない人になってしまう(涙声)ヒサはヒサは」
忠助 「何をいうんだヒサちゃん。僕は絶対に君のところに戻ってくる。僕を信じてくれ」

ヒサ 「でも、でもヒサ・・・・」

  音響 感情をもりあげる音楽
忠助 「君は野菊のように美しい人だ」
ヒサ 「あっ、忠助さん、いけない」

  音響 だきあうヒサと忠助
  音楽 強く跳ねて

忠助 「あっ、また馬鹿やっちゃった。こんなことやってる暇なかったんだっけ(頭をたたく音

11.地獄谷

  音響 地獄のテーマソング。鬼の声は合 成音声にして特徴を際立たせる
鬼A 「へへへへへ、見てみろ、見てみろ、あほが稜線で一人芝居やってるぜ。おちりゃ地獄だとはしらねえでよ。鴨ねぎよ。この地獄谷におちてきたら鬼のエサだ」
鬼B 「ねえ、兄貴、こんどは俺に食わせてくれ、兄貴はいつも、いいとこくっているが、おれは髪の毛しか食ってねえ」

鬼A 「うるせい、地獄には、地獄の掟があるんだ。股肉は大王、尻肉は俺、お前には髪の毛をやるから、髪の毛売って羅生門やってこい」
鬼B 「いまはアデランスが流行ってるからうれねんだ」

鬼A 「うるせい、御託をならべるな」

(シナリオ3に続く)

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