(21.12.11) NHK たった一人の反乱 千葉県谷津干潟 森田三郎氏

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 NHKが放送している「たった一人の反乱」「千葉県谷津干潟」を興味深く見た。それと言うのも谷津干潟は私が現役時代、京葉線の窓越しにいつも見ていた干潟だったからだ。

 始めてこの干潟を見たときは驚いてしまった。通常干潟はその先に大海原が広がっているのだが、この干潟は周りが埋立地になっていて、どこから海水が入ってくるのか、または閉じ込められているのか分からなかったからである。

 この干潟は1970年代、周りの海がすべて埋め立てられたため干潟としては再生不可能といわれ、習志野市ではここも埋め立てを行って跡地に住宅団地を建設する予定だったという。
住民の格好のゴミ捨て場になっており、悪臭がひどく犬や猫の屍骸や、タイヤや電気製品の古くなったものや衣類がところ狭しと捨てられていた。
どうせ埋めたてられるのだから、何を捨ててもいいや」

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 ところがこのヘドロの海を一人で再生しようとした青年があらわれた。森田三郎さん、当時29歳、新聞配達の仕事をしていた。1974年のことだ。
自分が子供の時分に遊んだ海を取り戻そう」と一人で立ち上がったのだが、映像を見て森田氏の苦労が並大抵でなかったことが分かった。

 ごみ処理では常にその最終処分の仕方が問題になる。当初森田氏は干潟の近所のゴミ回収所にそのゴミを置いていたみたいだが、習志野市から回収を拒否されたそうだ。

 おそらくこのゴミステーションを管理していた住民から習志野市にクレームが付いたのだろう。
自分たち以外のゴミが捨てられて困っています。いくら言っても聞いてくれません

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 習志野市から回収を拒否されたため、森田氏はこの干潟の管理者である大蔵省関東財務局に掛け合うが、「地元住民が捨てているゴミの回収はできない」と断られた。
実際問題として大蔵省はゴミを回収する手段を持っていない。ゴミ回収は地方自治体の仕事だからだ。

 結局森田氏はゴミを自宅に持ち帰り、自宅周辺のゴミステーションに捨てていたのだが、この方法しかないことはよく分かる。
私も四季の道、約6kmの清掃をほぼ毎日行っているが、集めたゴミは我が家が捨てるべきゴミステーションに捨てている。

 森田氏はゴミ袋をバイクに積んで自宅に運んでいる途中に交通事故に会い、それでもめげず松葉杖をつきながらゴミ回収を続けていた。
しかし4年間は誰からも相手にされず、孤独な作業が続いていたと言う。

 森田氏は干潟の重要性を訴える立て看板を作ったり、干潟を見渡せるベンチを作ったりして、少しでも干潟を理解してもらおうと孤軍奮闘するが、これは「たった一人の自然保護運動」と言ってもよい取り組みだ。

 時が経つにつれてそうした活動を理解する人が増え、朝日新聞の記者や地元のお母さん方の支援活動が始まり、1980年にはクリーン活動が開始されたのだと言う。

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 画面ではクリーン活動に集まった地元住民や日本道路公団のゴミを運び出すトラックが映し出されていた。
森田氏がたった一人で活動を始めてから6年後に、地元住民の運動となり、1984年には習志野市議会干潟として保存するとの決定をおこなったのだという。

 私はこうした話が好きだ。自分自身がこのおゆみ野の四季の道を「世界で一番美しい遊歩道になるように、定年パワーを全開させよう」として毎日清掃活動をしているせいもあるが、森田氏に強いシンパシーを感じた。

 実は私は定年退職をした後の生き方として、「日本の海岸線にたどり着いたゴミをすべて回収して、元の美しい日本の砂浜に戻す旅にでよう」と思っていた。日本の海岸線はゴミでいっぱいだ。
スタイルは黒染めの僧衣を着て、ゴミの回収が終わるごとに、「ここに清掃終わる。僧 次郎」という立て看板を立て、海岸線を美しくする漂泊の旅で一生を終わると言うイメージだったが、実際は四季の道の清掃と、近くの都川源流の調節池のゴミの回収しかしていない。

 森田氏の努力の跡を見て、かつて「日本の海岸線を美しい砂浜に戻そう」と思っていた自分を思いだした。
はたしてあの頃の情熱がよみがえるだろうか?




 

 

 

 

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(21.12.10) GM ヘンダーソンCEOの馘首(かくしゅ) GMの迷走

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 11月16日、GM09年7~9月期の決算発表であんなに得意満面だったヘンダーソンCEO12月1日には解任されてしまった。
最終損益が昨年同期の▲25億ドルから、▲12億ドルと半減し、10月の米国市場での販売台数が前年同月比+5.6%になったのがよほど嬉しかったのだろうが、結末は悲劇だ。

12月には米政府からの借入金の一部返済を始める」と公表し、また「来年度に株式を再上場する」と大見得を切っていたヘンダーソンCEOに何があったのだろうか?

 新生GMの取締役会の13名の役員のうち、GM出身者はヘンダーソン氏ただ一人で、後は米政府の代理人10名、カナダ政府の代理人1名、全米自動車労組の代理人1名だったから、ヘンダーソン氏が少しでもへまをすればすぐに解任される状況下にあったのだが、それにしては唐突だ。
なにしろそれまではヘンダーソン氏はよくやっているとの評価だった。

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 どうやら解任の理由は、ドイツにあるGM子会社オペルの売却問題らしい。
GMが苦境に落ちたと同じ理由でオペルも苦境に落ちていたのだが、ドイツ政府の肝いりで、オペルをカナダのマグナ社に売却する話がほとんど決まっていた。

 ドイツ政府としては労組を説き伏せ、人員削減等の条件を飲ませる代わりに、独州立銀行から約2000億円のつなぎ融資をし、さらに約5000億円の持参金をつけてオペルの再建をマグナ社に約束させたばかりだ。
やれやれ、これで失業問題も回避でき、オペルは最新設備を導入できて競争力が向上し、新生オペルとして蘇るだろうメルケル首相は胸をなぜ下ろしていた。

 ところが急にGMが強気になり、オペルの売却を白紙撤回するといい始めた。11月4日のことである。
どうやらヘンダーソンSEOGMの業況が回復基調に乗ったと判断し、またドイツ政府が5000億円の持参金を出してくれるなら、GMの管轄化でオペルを再生できると判断したらしい。
GMの大型車はもう売れない。オペルを強化して環境対応車にするのがGMにとって再建の近道だ

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 しかしこれにはメルケル首相が完全に切れてしまった。「何言っているのよ、私が大事なのはドイツのオペルで、GMじゃないわ。約束を反故にするならすぐさま独州立銀行の2000億円の融資金を返済しなさい」と命じ、さらに持参金など一銭も出さないと通告した。

 困ったのはヘンダーソンCEOだ。ドイツ政府は失業問題を恐れて、つなぎ融資もそのままで、さらに独政府の支援5000億円を当てにしていたのに、実際はすべてGMもちで再建を果さなくては成らなくなった。

ヘンダーソン、君ははしゃぎすぎだ。せっかくマグナ社に売却ができるはずだったのに、ドイツ政府を怒らせ元の木阿弥になってしまったじゃないか。君には経営能力はない
取締役会で解任されてしまった。

注)実際はメルケル首相からオバマ大統領に厳重抗議が行き、アメリカ政府がヘンダーソン氏の首をきったのだろう。

 GMの業況の回復はアメリカ政府や中国政府の買い替え補助制度や、減税措置によるところが大きい。
こうした政府の支援がなくなれば自動車市場は瞬く間に凍りついてしまう。
自らの実力ではない政府支援のおかげで、かろうじて販売が伸びているのに、ヘンダーソン氏は自分の経営能力によるものと誤解したらしい。

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 これで再びGMの再建に赤信号がともった。
なにしろGMには環境対応車の開発で決定的に遅れているという弱みがある。アメリカ政府の環境対応車への補助金で潤ったのは、GMというよりは日本車だ。

 さらにここにきて、オペルだけでなく、スウェーデンのGM子会社サーブの売却が白紙撤回されてしまった。
せっかく連邦破産法11条の適用を受け、身軽になったのに、これではまた昔のGMに戻ってしまいそうだ。
GMの経営について、また目が離せなくなってしまった。

 


 

 

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(21.12.9) 農業政策のダッチロール  戸別補償制度

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 日本の農業制度は保護を目的にしてきたため、農業は徐々に衰退を続けてきたが、今回民主党が導入する「農業者戸別所得補償制度(戸別補償)」を見て、「これで日本農業は最終的に衰亡が決定した」と思った。

 それまでの自民党農政も決して褒められたものではなかったが、それでも農産物の自由化を見越して、国内農業の生産性を向上させるための大規模農業の実現には努力していた。
07年から主として大規模農家(4ha以上)や集落営農20ha以上)に補助金を出して、規模の拡大と生産性の向上を図らせていたからである。

注)当初自民党は大規模農家だけに補助金を出すことにしていたが、民主党から小規模農家も対象にすべきとの修正案がだされたため、集落営農と言う形で、農家が集まって20ha以上になれば補助金の対象にした。
なお、集落営農に対する補助金は組織に与えられ個人に与えられるわけではない。

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 ところが今回民主党が導入を図ろうとしている戸別補償では10a以上のコメ生産農家に直接補償をするという内容に変更された。
10aとは自民党農政が目指してきた農家の40分の1の規模だ。

そんなら、集落営農なんか止めて個人で米つくりをしたほうがいいじゃないか。集落営農では補助金は組織のものだが、自分で耕せば補助金は自分のものだ

 それまで大規模農家や集落営農組織に農地を賃貸していた農家がすっかり、農作業を再開することにしてしまった。
しかしなぜ小規模農家が農業を止めていたかというと、高齢化で農作業ができなかったり、トラクターなどの農業資材の高騰で農業が割に合わなかったからである。

お父さん、農業を再開するといっても、腰が曲がってしまって農作業ができないじゃない
心配するな、作るそぶりだけでいいんだ。できた米の品質なんて問題じゃなくて、補助金をもらうのが目的だ。手抜き農法なら今でもできる

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 今回の戸別補償の最大のポイントは従来の補助金や交付金が農協経由で配分されていたのに対し、農家に直接支払われることにある。

自民党の支持基盤の農協をつぶせ。直接農家の支持が得られれば、来年の参議院選で、民主党は過半数を取れる小沢幹事長の戦略である。
確かに政治的には戸別補償は民主党にとって利すると思われるが、経済的には最悪だ。

 なにしろ諸外国にも戸別補償はあるが、規模がまったく違う。
豪州が3200ha以上、アメリカ180ha以上、イギリス40~60ha以上と大規模農家を農業の中核に据えて、国の食糧確保と輸出用農作物の生産を図らせようとするものだ。

 たしかにこの規模なら生産性の向上も期待できるが、日本の10a以上ではライオンとネズミのような差であり、当初から強い農業を目指しているのではなく、民主党の票田とのみ考えていることが確かだ。
じいさんと、ばあさんで2票だ。しかも必ず投票してくれるのだから戸別補償など安いものだ

注)来年度は試験的に導入することとして、予算規模は約5000億円。しかし最終的に米以外の農家への導入が決まると約3兆円の予算が必要といわれている。
なお米については生産調整に応じた農家という条件はついている。


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 しかしそれでは日本の農業は衰退するだけだ。大規模農家をつぶして小規模農家だけにし、生産性を徹底的に落として戸別所得補償だけしようという案だ。
当然品質のいい米もなくなって、国際競争力などまったく期待できない。
大規模農家や生産組合すら、経営努力は止めて品質の向上を図るよりは補助金で食べていこうとするだろう。

 戸別所得補償制度は日本農業の挽歌となると私は思っている

 

 

 

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(21.12.8) 私設 長柄町一周駅伝(JOG) 

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 伝統ある長柄町一周駅伝は今年は中止になった。新型インフルエンザが流行していたために、中学生や高校生が多く参加するこの駅伝は、今年は中止になったのだという。

 昭和33年以来51回も継続してきた大会だけに主催者としても忸怩(じくじ)たる思いだろう。
例年ちはら台走友会では2チームを編成してこの大会に臨んでおり、私も遅いBチームのメンバーだっただけにとても残念な気がした。

 そう思っていたら走友会のY会長が、「今回駅伝に出場できなかった人たちの思いを代表して、駅伝コースを一周しないか」との提案をしてくれたので喜んで参加することにした。
一度駅伝コースすべてを走ってみたかったんですよ」気持ちがハイになった。

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 今回はY会長と私の二人旅だったが、朝方のもやも次第に晴れて日中は小春日和の最適なJOG日和になってくれた。
長柄町は千葉県のほぼ中央に位置する起伏の多い場所で、駅伝コースも登ったり降りたりするかなりタフなコース設定になっている。

 特に2区4区はスタート直後に急激な登りがあり、私はこの区間は走ったことはなかったが、心臓が破裂しそうな坂道だった。
イヤー、これは大変なコースだ

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 Y会長萩往還250kmレースにも完走した経験があって、長い距離をJOGペースで走るのが好きだ。私もレースより街道や古道を走るのが好きなのでこの日は本当に楽しかった。
特に冬場の晴れた風のない小春日和の日は、心地よい汗が全身を包んでくれる。

 一周は約25km程度なのだが、2時間半程度かけて出発地点の長柄町役場まで戻ってきて、そこに隣接されている温泉で汗を流すことができた。
温泉はかなり黒ずんだ湯なのだが、地元の人の話だと約1800mボーリングして温泉を掘り当てたのだそうだ。

 Y会長ちはら台走友会グループメール長柄町一周JOGの練習記を掲載しているので、一部転載いたします。

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山崎さんと長柄ロングラン走ってきました。
長柄駅伝がインフルエンザで中止になったので、70チーム、420名を代表して、駅伝コース25km1周です。
9:35長柄町役場前は霧が立ちこめ、肌寒いくらいでしたが、スタートしてからだんだん晴れ、気温も上がってきて、快晴。
自然の中を気持ちよく走れました。
3区茂原街道の道の駅でエイド、4区下り終わって商店でエイド、それ以外は、㌔6分ペースで、山崎さんとお話しながら、おいしい空気を吸って、道行くおばさんたちとも笑顔で挨拶を交わしながら、とてもいいランでした。
25km 2:37:02(6’16/k)
ゴールしてセブンイレブンでノンアルコールビール買っておいしく飲みました。
温泉でゆっくりあたたまり、和室大部屋で弁当をほおばりました。
右ハムはテーピングしてたせいか痛みはほとんどなく、むしろ左ハムからお尻にかけての方が痛みがありました。
佐倉に向けて、いいスタートが切れました。
走ると気持ちいいです。
日頃のモヤモヤもすっきりしました。

 

 

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(21.12.7) 東証の責任はその程度か 1円株誤発注判決

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 みずほ証券05年12月、東証マザーズに新規上場したジェイコムの株取引で、「1株61万円で売却」しようとして、誤って「61万株を1円で売却」と入力し、システム的に取り消しができなかったため、415億円の損失が発生した事件の東京地裁の判決が出た。

 判決では「注文取消義務(誤発注から1分25秒後」と「売買停止義務(誤発注から6分59秒後」が争われたが、前者の責任は東証にはなく、後者についてのみ責任があると判断され、107億円の賠償をみずほ証券に支払うよう判決が出されている。

注)判決では異常な取引を認識した時点で売買停止をすべきであったとして、その時点以降の150億円の損失発生にのみ損害賠償の責任が発生するとした。
ただし責任の割合は東証7割、みずほ証券3割とし、150億円×70%=107億円をみずほ証券に支払いを命じている。

 一瞬「本当か?賠償は訂正のインプットができなかった時からではないのか?」眼を疑ってしまった。
東証のシステムでは一旦入力した内容の訂正が効かなかったのだが、裁判所の判決ではそれでいいのだという。

 東証の言い分は「売買するための施設の提供が役目で、個別の注文を処理する義務はなく」「今回は予想不可能なトラブルで賠償責任はない」と言うものだった。

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 通常システムを構築するときは「人間は間違いをする」と言う前提の下に、必ず「訂正処理のシステム」を構築するのが常識だ。
金融機関の用語で「被訂正・訂正」と言うのだが、一旦打ち込んだ内容を取り消して、新たに正しい内容を打ち込む処理である。

 ところが東証システムにはこの「被訂正・訂正」の処理が一応はあったのだが、実際はプログラムミスで取り消し処理ができなかった。
このため間違いは永遠に間違いのままで、後は「異常な売買状況を認識した時点で、売買停止措置を取」事しかなかったのだという。

 東証は「予想不可能だった」と言っているが、ならば「訂正処理のシステムを構築していた」のはなぜかと言う疑問が残る。

注)東証では確かに訂正処理のシステムは構築したが、みずほ証券のような入力ミスはプロがするはずがなく、本来あってはならないレアケースなので、プログラムテストをしなかったのは東証の責任ではないという。

 確かに株式の取引で「あの注文は間違いでした。ごめんなさい」なんて常時いわれたら取引が成立しないことは確かで、遡って注文を取り消すことは不適切だが、間違いを気づいた段階で「取り消しができない」と言うのはシステムとしては最大の欠陥だ。

注)なおロンドン等海外の証券取引所では誤発注の約定を事後的に取り消すルールが存在しており、東証も07年9月にそのルールを導入した。

 東証はシステムに詳しい人材の育成をせず、もっぱらシステム構築をメーカーに丸投げして、訂正処理のテストをすっぽかしため、実際にその処理を行おうとしたときにはシステムが動かなかった。

 ところが今回の判決はこの「取消注文義務」が東証にはないとの判決で、常識的な判決だとはとても思われない。
みずほ証券はまだコメントを出していないが、「承服できない判決で、損害賠償対象金額は訂正処理をしようとした後で発生した損失415億円だ」というのが本心だろう。

 現在東証の世界に置ける地位の低下は著しく、上海証券取引所に売買代金で抜かれてしまって、上海が3位、東証が4位になってしまった。かつて世界一と言われていた東証は、これからもますます差を付けられそうだ。

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 現在の取引所相互間の競争は、① コンピュータによる自動取引と、② 細切れに分けて売買注文が出せるシステム開発なのだが、東証は「欠陥システムがあってもそれは東証の責任ではない」と言っているのだから、これでは最初からシステム競争に勝てるはずがない。

 東証の税引き後利益は年間100億円程度だそうだから、確かに400億円も賠償責任が発生したら、4年間の利益が吹っ飛んでしまう。
だからどんな屁理屈であろうと、この裁判に勝たねばならないということは理解できるが、だからと言って東証がシステムテストも十分に行わず、欠陥システムをリリースした責任は免れないと私は思っている。

注)みずほ証券は上告すると思うが、その場合は東証に対するより厳しい判決が出ると私は予想している。

 

 

 

 

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(21.12.6) 世界経済の七不思議 日本国債のレートはなぜ低い

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 おそらくこれほど魔か不可思議な現象はないとも思われる。
日本国債の利回りが世界のどの国の国債の利回りよりも低位にあって、一方政府の債務残高の推移は対名目GDP対比、先進国では断トツに高い

本政府は国債を自由勝手に増やすが、だからと言って市場は易々諾々とその低金利の国債を購入する、なぜだ?」

 かつて格付機関ムーディーズは軽蔑をこめて言ったものだ。
日本国債のGDPに対する比率は許容限度を越えた。これではボツワナレベルの格付がせいぜいだ2002年のことである。

 しかしその後も日本国債は売れ続け、利回りはどこの国よりも低位で安定してきた。
ムーディーズの馬鹿がとちりやがって
市場からクレームが付き始めたので、ムーディーズはあわてて「日本の対外債権や国内預金の多さから見ると、ボツワナレベルは間違いだった。イタリア並だ」と訂正した。2009年のことである。

 しかしムーディーズならずとも、この日本国債の強さは信じられないだろう。
現在利回りは1.5%前後だが、他の先進国は軒並み3.5%前後だし、高金利政策をとっている豪州やニュージーランドは6%前後、経済に赤信号が付いている南アフリカは10%前後になっている。
日本国債はオリンピックならば断トツの金メダリストといえる。

 一方、政府債務残高の推移は赤字国債の発行増で急激に悪化しており、アメリカやヨーロッパ主要国がGDP比せいぜい100%程度なのに、日本は200%と他を寄せ付けない悪さだ。
先進国の中でイタリアだけが150%だから、ムーディーズが日本をイタリア並みに評価したのもうなずける。
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 だがそれでも日本国債の市場評価はゆるぎない。
リチャード・クー氏が「心配するな。赤字国債をいくらでも発行して、経済の底上げを図れ」とはっぱをかけるのもうなずける。

 日本国債が世界最強である理由は通常以下のように説明される。

① 日本国債の購入者は国内の機関投資家であり、日銀の低金利政策により1.5%前後でも十分に利ざやが取れるので、あえてリスクテイクな投資をしない(ゆうちょ銀行が典型的にそれで177兆円の貯金の約80%を国債運用にまわしている

② 日本は経常黒字国で、常に金余りの状態にあり個人貯蓄も約1500兆円と断トツに多い。いわば金の使い道に困っている状態なので、国債運用でも運用がないよりはまし。

③ 日本の国民が日本政府を信用し、国がよもやハイパーインフレ政策をとって国債の価値をゼロにするようなことはないと思っている。


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 以上のようだと、日本政府が低金利政策をとる限り、また経常収支が黒字である限り、また財務省と日銀がへまをしない限り、日本国債は売れ続け、世界最強の国債でいられることになる。

だから言ったろう。赤字国債をいくら発行しても日本は大丈夫なのだ。45兆円でも、50兆円でも発行しろリチャード・クー氏の雄たけびが聞こえるようだが、日本は世界の目から見るとえたいの知れない国と写るだろう。
まさに世界経済の七不思議なのだ。

注)日本人の行動パターンはグリーンスパンも理解の限度を越えていたらしい。「利回り1%の10年国債を進んで買う投資家は、日本人以外にはいない」とあきれ返っていた

 

 

 

 

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(21.12.5) 原油 急騰か暴落か エコノミスト特大号

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 私の経済予測の中でいつも今一つなのは原油価格の予想だ。
昨年の12月に、「石油価格はさらに低下しそうだ」という記事を書き09年度30ドル前後だと自信満々で予想したが、30ドル台だったのは3月頃までで、4月が40ドル、9月に65~75ドル、10月に入り80ドルになってしまい、これからさらにあがりそうな気配だ。
一体どうして私の予想が当たらないのだろうか」頭を抱えた。

 09年度の世界経済成長率は世界全体で▲1.1%とIMFが予想しているように、実体経済は相変わらず悪い。
中国が好調だといってもアメリカも西欧も日本も経済が失速し、石油需要が減少しているのに、なぜ価格だけが上昇するのだろう?」
悶悶としていたら、週刊エコノミストが「原油」の特集号を出して私の疑問に答えてくれた。

 このエコノミスト特集号には3つの論文が収録されているのだが、丸紅経済研究所所長柴田明夫氏の「構造変化した価格決定メカニズム」と草野グローバルフロンティア代表草野豊己氏の「原油バブルは仕掛人CTAの手口」の2つの論文が参考になった。
特に草野氏の論文は私の疑問に直接回答を出してくれている。

 柴田明夫氏の論文の趣旨は原油価格は実体経済によって決定され、特に新興国の経済成長に伴って需要が増大して、価格が上昇しているというものである。

 基本的には私が行ってきた分析と同じ手法で、ただ新興国中国のウェイトを高く評価して価格上昇を予想しているのに対し、私が世界的経済の低迷で価格は上昇しないと判断したところが違うだけだ。

 一方草野氏の分析手法はまったく違う。草野氏の分析では、2009年WTI原油先物価格の推移を、実体経済の自律回復だけで説明するのは不可能だとし、その原因をFRBによる流動性の大量供給に求めている。

 大量の資金供給が、銀行貸し出しの増大には結びつかず(貸出しは08年対比09年度、約50兆円減少している)、銀行自身の自己勘定ヘッジファンドCTA:商品投資顧問業者)による原油、金、ユーロに対する投資によって価格上昇が起こっているという。

注)ヘッジファンドはリーマンショックの後半減したが、CTAと称するヘッジファンドだけはリーマンショック後も+14%程度の利益を出し、09年度に入ると、ますますリスクテイクの傾向を強めている

 いわば流動性供給バブルが発生しており、前回のリーマンショックまでは日本が低金利政策をとって世界にバブル資金を供給したが、現在はFRBがゼロ金利政策でバブル資金を供給しているという。

 これを証明するため、草野氏米商品先物取引委員会の資料を元に実に説得的なグラフを作成したが、このグラフを見るとWTI原油先物ユーロFRBの資金が流れていった様子が見て取れる。

注)以下の二つのグラフは非商業部門(実需に結びつかない投資部門)の原油とユーロに対する先物投資持高の推移をあらわしたもの。

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このグラフは投資目的である非商業部門の原油先物の持高<値上がりが予想されると持高がプラスになり、値下がりが予想されると持ち高はマイナスになる>がFRBが金融緩和に乗り出した後の5月以降急激に増え、また原油価格が上昇していることが分かる

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このグラフはユーロへの投資がやはりFRBの金融緩和後、5月以降積極的に行われ、ユーロ高につながっていることを示している。ユーロ・ドルとはユーロをドルで割ったもの

そうか、金余りになり行き場を失った資金が再び原油や金やユーロ、そして最近では円に殺到しているのか
09年3月頃から原油価格は上昇に転じているが、FRBの金融緩和時期にほぼ一致し、この状況はFRBが引き締めに転ずるまで続く可能性が高い。

 現状のFRBの姿勢はゼロ金利のまま、政府機関債やMBS(不動産担保証券)を担保に来年3月までは資金供給を行うことにしているので、それまでは金融機関はジャブジャブの資金が調達できることになる。

注)それによりドル安が予想されるが、ドル建ての商品(特に原油)は、ドル安部分だけでもヘッジしなければ持っているだけで損失が発生してしまう。

そうなると、来年の3月までは原油価格は上昇局面にあって、100ドル程度まで上がる可能性がありそうだ。もし3月でFRBが金融を引き締めれば、今度は急転直下原油価格は下降に転じて、リーマンショックと同じような急落をすることになる

 今回の草野氏の論文を読んで、今まで私が行ってきた実体経済分析による見通しだけでは、十分価格推移を見込めないことが分かった。
リーマンショックの後も世界はあいも変わらず過剰流動性による、バブル価格が原油先物価格を決定しているようだ。


 

 

 

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(21.12.4) 文学入門 ファイティング寿限無 立川談四楼

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 今回の河村義人さんの読書会のテーマ本は立川談四楼たてかわ だんしろう)氏のファイティング寿限無じゅげむ)だった。
この本を選んだのはこの読書会でいつも一風変わった本を紹介するOさんである。

 とても正統派とは思われない、それでいて人気のある作品を選択するのだが、私は立川談四楼氏もまたこの作品も知らなかった。
さっそくWikipediaで調べてみると次のように記されてあった。

立川 談四楼(たてかわ だんしろう、1951年6月30日 - )は、群馬県邑楽郡邑楽町生まれの落語家、作家。
1970年、(昭和45年)高等学校を卒業後、同年3月立川談志に入門。前座名は寸志。1975年11月の二つ目昇進後談四楼と改名。

 1983年、落語協会での真打昇進試験において、談四楼と兄弟子の小談志が不合格になる。これをきっかけに談志は弟子をつれて落語協会を離れ、落語立川流を結成。同年5月、落語立川流真打に昇進


 私と5歳違いの落語家で作家だと言う。昭和45年は私も社会人になった年なので感慨深かった。
そうか、この人は私と同じ年に、落語界に身を投じ、その後作家活動をしてたのか・・・・・・

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 小説の筋はいたって簡単で、落語家でボクサーのファイティング寿限無がたちまちのうちに世界王者になり、なったとたんにボクシングを捨てて落語にまい進すると言う話である。

 立川談四楼氏は落語家で作家だが、それを落語家でボクサーの寿限無に投影して、夢を描いたと思えば大体あたる。
この小説にでて来る師匠の橘家龍太桜は実際の師匠立川談志そのもので、語り口も話の内容もほとんど実際にあったものと推定される。

 私はボクシング業界についてはほとんど知識がないが、寿限無が入門した金丸茂二ボクシングジム金子ボクシングジムのことだし、寿限無を好意的に取り上げるニュースキャスター ヨネキュー久米宏といった具合である。

 この小説では実在の人物があたかもその人そのものと思われるキャラクターで現れてくるので、ちょうど水島新司氏の人気漫画「あぶさん」を読んでいるのと同じような感覚になる。

 作者が落語業界に詳しいのは当然としても、ボクシング業界の知識も相当なもので、私のようにこうした世界に無知なものにはとても新鮮な感覚で読めた。
また寿限無が瞬く間に世界チャンピオンになってしまうのだが、このあたりはかなり劇画風であり、映画「ロッキー」のようなのりだ。

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 ただし、寿限無を世界チャンピオンにするために作者はかなり無理な設定を行っている。
たとえば寿限無がボクサーとして頭角を表したことで、芸能人アスリートナンバーワンを決める特別番組に出場を要請され、寿限無は100m走に出場する。

 対抗馬は元バレーボールのメダリストで現スポーツキャスターの河田俊男で昨年のタイムは11秒65。
寿限無は一回目でこれと同じタイムを出し、ファイナルでは10秒59河田を振り切って優勝すると言う話になっている。

 思わず笑ってしまった。
いくらなんでも、そりゃないよ。ボクサーとしてのトレーニングをしたからといって、日本陸上選手権のセミファイナルクラスのタイムが出せるはずがないじゃないか
ボクサーのJOGは決して早く走るためのトレーニングではない。
フットワークを鍛えるためであり、実際立ち止まってシャドーボクシングをしては、又走ることの繰り返しだ。

 もう一つの無理は世界タイトルマッチに向けてのキャンプに二人の若手のボクサーを同行させるのだが、一人は中距離、もう一人は駅伝とハーフマラソンで高校、大学で鳴らした選手だったと言う設定だ。
この二人と寿限無は走りこみの練習をするのだが、キャンプの最終段階でこの二人をらくらく抜いてしまうと言う話になっている。

そりゃないよ。高校・大学まで一流選手だった人と、落語会に入って身体をなまけ、その後ボクサーとしてのトレーニングをしたからといって、陸上競技を専門にしてきたランナーに勝てるはずはない

 もっとも落語家でボクサーと言う二束のわらじを履きながら世界チャンピオンになれるというのも荒唐無稽なので、鼻白むようなことではないが、私のように長い間マラソンをしてきた人間から見ると、どうしても話の筋に無理が見えてしまう。

 しかし、あまり細かいことは言うまい。この本を読んでいた数時間は結構楽しく読めたのだから、人を楽しませてくれる本ということは言える。
まあ、落語と同じだ。楽しけりゃ、それでいいじゃないか


*この会の主催者河村義人さんの書評を掲載いたします。この本に対する高い評価を下されていますので、是非一読ください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2009/12/1129-9345.html

*また今回の読書会のチューターのOさんの感想文は以下の通りです。http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/


 

 

 

 

 

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(21.12.3) NHKスペシャル 数学者はキノコ狩りの夢を見る ポアンカレ予想

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 先日見たリーマン予想の番組があまりに良くできており、私のような数学音痴でもそのポイントが理解できたので、今回このポアンカレ予想の番組も期待して見ることにした。

注)この番組は2007年に放送されたものの再放送で、リーマン予想の番組より前に制作されている。

 しかし結論から言うと、このポアンカレ予想の番組は出来が良くない。なぜそう言えるかというと、私が途中で寝てしまったからだ。
自分が寝たから良くないなどと言えば、まったく自分中心の天動説みたいな解釈だが、ビデオを再度見直して、なぜ私が寝てしまったかの理由が分かった。

 ポアンカレ予想とは「宇宙の形と構造を調べる方法」にかかる予想である。
ポアンカレによれば、「もし宇宙に一本の縄をつけた宇宙船を飛ばして、宇宙空間を旅した後に、地球に帰ってこれたとして、その縄を手繰り寄せることができれば宇宙は球面だ」という。

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 これをポアンカレは数学の表現で以下のように数学者に問うた。
単連結な三次元多様体は、三次元球面と同相といえるか
縄を途中で引っ掛けることなく回収できるような三次元多様体は球面と同じだと証明してみろ、と言っているわけである。

 さて、この番組ではこのポアンカレ予想の説明のために悪戦苦闘するのだが、最初から三次元空間では視聴者がまったく理解しないと判断して、最初は二次元空間の説明から始める。
しかし、この説明がまったく舌足らずなために、私のような数学音痴は理解不能になって白けてしまった。
一体何を言おうとしてるんだろう、さっぱり分からん・・・・

 二次元空間の例ではマゼラン世界一周から説き起こされる。マゼランは西に艦隊を向け続けて、最後に出発地点に戻ったのだから、地球が丸いことを証明した。
しかしとポアンカレは言う。
そうでなくてたとえば地球がドーナツ状になっていたとして、その外側を一周しても艦隊は帰ってこれる。だから西に向かって航海しただけでは証明したことにならない

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 ポアンカレは地球が球であるためには以下の内容の証明が必要だという。
マゼランが一本のロープを引いて航海し、最後に戻ってきてからそのロープが手繰り寄せられれば、地球は丸いと言える

 数学音痴の人間はこの説明に頭を抱えてしまう。マゼランの航海なら理解できても、ロープをたどり寄せることなど実際は無理だし、「もし手繰り寄せられるとしてもドーナツ型だって外側に沿った航海ならば手繰り寄せることができるじゃないか・・・・・・、それにそのことがなぜ球だという証明なのだろうか・・・・・・

 実はポアンカレ予想には二つの重要な前提条件があり、その前提条件の下で縄は手繰り寄せられるかと聞いているのだが、番組の当初はその説明がない。
二つの前提条件とは以下の通りである。

① 縄は必ず地球の表面を伝わって引き寄せられなければならない(ドーナツ型だと真ん中の穴に落ちたときに表面から離れる
② 船がどこをどのように航海しても結び目はできない(
マゼランが北極や南極や日本に自由に立ち寄ったとしても縄には結び目ができない

 ポアンカレ予想の証明をしようとした数学者はこの二つの条件の元で証明しようとして苦闘したのである。
そして上記の例は二次元空間だが、ポアンカレ予想はそれを宇宙まで拡大し、三次元空間で証明しなければならない。
宇宙の形は一本の縄で証明できる。もし、穴に落ちることもなく、結び目もなく手繰り寄せられたらそれは球面だ。だが、そのことをどのようにして証明すればいいんだ・・・・・・

 この番組ではこのポイントが明確にされていない。実際は時間の経過とともに分かるのだが、最初にこのポイントを明確化しないため、なぜ縄が地球表面から離れてはダメなのか、結び目がなぜ重要なのかわからない(だから数学者の苦闘が分からない)。

 私のようにビデオを見直して番組を再構成してみれば、番組製作者の意図が分かるのだが、最初みたときには分からなかった。
はっきり言ってしまえばできの悪い教師がだらだらとエピソードを述べ、生徒は懸命にノートをとって、それを見直すことによってはじめて内容を理解すると言ったレベルで、これでは生徒がかわいそうだ。

注)このような問題を解くための数学的方法としてポアンカレは位相幾何学(トポロジー)という数学を考案した。位相幾何学では穴の数だけが重要になる。
20世紀後半の数学界はこの位相幾何学の全盛時代となり、数学者はポアンカレ予想を証明するための方法はトポロジーだと信じていた。
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(位相幾何学ではこれは穴が一つなのでドーナツと同じとみなされる)


 実際はポアンカレ予想微分幾何学(19世紀の数学)という手法で証明されるのだが、番組ではこれを証明したロシア人数学者ペレリマン博士のエピソードに多くの時間を費やしている。

 ペレリマン博士が、このポアンカレ予想を証明したのに、数学界最高の栄誉であるフィールズ賞を辞退して、賞金100万ドルを受け取らなかったこと。
人と会うことを避けてサンクトペテルブルグの森でキノコ狩りをしながら人目を避けた生活をしていること。
高校時代の恩師呼びかけにもこたえないこと、等が映像で紹介されている。

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 確かに人間ペレリマンの紹介としては面白いが、なにしろポアンカレ予想のポイントが何なのか良く分からない人間には、「ペレリマンて何よ」という感じだ。

 どうやらこの番組の製作者は途中でポアンカレ予想の説明が数学音痴の人間には理解させることができないことに頭を抱え、途中で番組をエピソード数学史に変えたのではなかろうか。
ダメだ、視聴者にポアンカレ予想を理解させられない。なら、エピソードでお茶を濁そう・・・・・・・」そんな感じだ。

 この番組の最後もひどい。ポアンカレ予想を証明したペレリマン博士をプリンストン大学に呼んで説明を求めたのだが、トポロジーの専門家はペレリマンの微分幾何学がまったく理解できず、頭を抱えたと言う話で終わっている。

 しかしここで最も重要なのはポアンカレ予想がなぜ最新の数学であるトポロジーでとくことができず、微分幾何学と言う1世代前の数学で解かれたかで、そのさわりの説明に失敗している
おそらく番組制作者も理解できなかったのだろうが、見ている人はただあっけにとられるだけだ。

注)正確にいえば、ハミルトンのリッチフローを使用すれば、ポアンカレ予想を証明できると説明されており、このリッチフローが微分幾何学の式なのだが、見ている人には何がなんだか分からないだろう。

 この番組は多くのことを語たりすぎて自分でも収拾がつかなくなり、適当にお茶を濁した説明ばかりを行った駄作で、先日見たリーマン予想には足元にも及ばない。
製作者が理解できないことは、視聴者が理解できるわけがないということを確認するだけの番組に終わってしまった。

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注)この番組ではポアンカレ予想を内包するより大きな予想として、サーストンの幾何化予想と言うものが紹介されている。
サーストンの予想とは宇宙は最大で8つの形からなりそれを証明できればポアンカレ予想が証明できると言うもの。
しかし、ポアンカレ予想でさえ十分理解できない頭には、「これ以上いろいろなことを言うのはやめてくれ」という感じだ。


 

 

 

 

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(21.12.2) 悲劇の経営者 西川善文氏

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 このたび発表された日本郵政グループの中間決算を見て、改めて西川前日本郵政社長の力量に感服した。
21年3期の決算で郵政4社ゆうちょ銀行、かんぽ生命、郵便事業、郵便局)がいづれも黒字決算になったのには驚いたが、21年9月期中間決算では郵便事業を除いて黒字に成っている。

注)中間決算の内容

グループの連結決算
売上高8兆9513億円(対前年同期比▲5.6%)
純利益2009億円(同▲9.7%)

純利益の内訳:ゆうちょ銀行1581億円、かんぽ生命380億円、郵便事業▲193億円、郵便局93億円


 郵便事業は上期は常に赤字で、下期の年賀はがきで黒字に持っていくのがパターンだが、今期に限って言えば黒字化は難しそうだ。
日本通運との宅配事業の統合会社JPエクスプレスの正式認可を総務省から待ったをかけられ、事業統合のためのシステム経費等の支出が膨らんでいるためである。

注)JPエクスプレスは08年6月に設立され、ゆうパックとペリカン便の統合を目指していた。しかし麻生政権の鳩山総務相がかんぽの宿問題や、中央郵便局の立替問題でクレームをつけ、事業統合の認可を伸ばしてきた。
さらに鳩山政権になり亀井金融・郵政担当相が統合に反対している。なおJPエクスプレスの上半期の赤字は▲160億円。


  今回の中間決算は、もしJPエクスプレスの問題が早期に解決していたり、かんぽの宿で経営者が国会対策に翻弄されなかったならば、さらによい決算内容だったと予想されるだけに、西川氏としては残念なことだろう。

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 小泉元首相から請われて、日本郵政をたてなおした西川氏の手腕は上記のように確かなものだったが、亀井氏を始めとする旧郵政省グループに蛇蝎のごとく嫌われ、最後は鞭打たれ日本郵政から追い出されてしまった

 西川氏は、もし小泉路線が継承されていれば、今頃は成功裏に民営化を実現させたきわめて有能な経営者として賞賛を浴びていたはずだ。
しかし実際はかんぽの宿で不適切な売買契約を結んだ経営者という濡れ衣を着せられて、何か胡散臭い経営者のように思われている。

注)かんぽの宿は総額2400億円をかけて建設したが、実際は旧郵政省と郵便局職員の再就職の場としか利用されず、収益還元法で評価すると約100億円の評価しかなかった。
この価格でオリックスに売却しようとしたのだが、その売却過程が不明瞭だと疑われたものである。

 しかし本当に問題なのは100億円程度の価値しかないものを2400億円かけて建設したことで、これは旧郵政省の責任である。

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 その後釜に座ったのが、元大蔵事務次官斎藤次郎氏で、斎藤氏は郵政国有化の旗振り役として亀井静香氏に請われて社長に就任した。
斎藤氏郵政国有化に自信満々だが、残念ながら経営については期待できない。

 現在の日本郵政グループの収支構造はゆうちょ銀行の黒字が約8割とダントツなのだが、ゆうちょ銀行が黒字なのは、177兆円の残高の約8割を国債で運用し、その利ざやが1%程度あるためである。

 ここで次のような設問に答えてほしい。

国債利回りがゆうちょ銀行の利回りより平均して1%程度高い状態が続いた場合、ゆうちょ銀行利用者は郵便貯金より国債購入に移行しないか?」

誰でも答えは「移行する」だろう。

注)実際郵便貯金の残高は傾向的に低下してきており、01年には262兆円あった残高が、最近時点では177兆円(▲85兆円)になっている。

 ここにゆうちょ銀行の本質的な問題があり、現状の国債運用を続けていく限りジリ貧に成るのは当然といえる。

① ゆうちょ銀行は現状は収益を確保しているが、貯金者が利回り選考に目覚めると自身で国債購入を始め、郵便貯金を経由しなくなる。

② 郵便事業は電子メール等の普及に伴い、その実質的な役目を終えようとしており、さらにゆうパックはクロネコヤマトのような手ごわい競争者と競合している。

③ ゆうちょ銀行とかんぽ生命に全国一律営業を亀井大臣はさせることにしているが、実際はまったく商売が成り立たない郵便局が出てくる。

 このような厳しい状況をかいくぐって経営をしていくのは並大抵のことではなく、それゆえ西川氏の手腕が光るのだが、今回社長に就任した元大蔵事務次官の斎藤氏にそれを求めるのは始めから無理というものだろう。


(別件)Picasa Webでの写真です。現在You Tubeとの比較対象のために作っています。http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou0/Sample02?authkey=Gv1sRgCOT57ojC0PWHygE#

 



 

 

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